投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 10 月 10 日 19:47:54:
銀行株指数が9日、年初来安値を更新した。銀行株指数は数ある業種別指数の1つに過ぎないが、市場全般の先行指標として注目するプロは多い。来年1〜3月、金融庁が「特別検査」を実施する。不透明な財務内容にメスが入るちょうどその頃「最悪のタイミングで、米国の利下げの限界がはっきり見えてくる」(国内証券アナリスト)との懸念が強まっており、もう一段の株安に備え、売りポジションの積み増しに動く投資家も出ている。
●98年の金融危機時より状況は悪化・・・
9日の銀行株指数は252.48と、7月23日の安値(256.39)を割ってしまった。このため、ある証券会社では、同時テロによる急落後の短期的な反発局面が終わったと判断し、顧客に新規のカラ売りを推奨した。
別の証券会社では「金融危機が元凶となった98年の下げ相場と似ているが、今回は98年より状況が悪すぎる」(投資情報担当者)と指摘する。当時、国内ではまだ利下げが有望な選択肢だった上、大規模な財政出動も可能だった。しかも米国経済がITの恩恵で世界経済を引っ張る過程にあり、日本企業も人員削減や事業の選択と集中などリストラによる業績回復が望めた。
しかし、現在の日本では財政、金融政策はほぼ出尽くし、残る策は銀行への資本再注入や調整インフレ策などに限られている。にも関わらず、TOPIX(東証株価指数)は98年安値(980.11)を1度も割っていない。このため「株価は実態経済の悪化を織り込んでいない。投資家の悲鳴が聞こえるような本格的な下げはこれから」(同)と、下落トレンドの継続を見込む向きが少なくない。
●米国もタマ切れ間近か〜“時間切れ”を織り込む市場
米国は今年に入ってすでに9回の利下げを実施。短期金利の誘導目標であるFFレートは、年明けに6.5%だったが2.5%にまで低下、すでに歴史的な低金利になっている。
しかし、ナスダック指数は年初の2600ポイント台から1400ポイント台に下落し、売りに歯止めがかからない状態だ。
不良債権の抜本処理に不可避とされる銀行への資本再注入には「銀行員の給与引き下げなど世論対策が必要」(同)だが、年度末3月までに政策発動する素地は全く整っていない。市場はどうやら“時間切れ”を前提に動き出しているようだ。
[半沢昭悟 2001/10/10 13:55]