投稿者 sanetomi 日時 2001 年 10 月 08 日 20:48:29:
同時多発テロに対する米国などの報復攻撃は、世界経済にどのような影響を与えるかが注目される。為替動向や日米欧の株価などの先行きについて、前大蔵省(現財務省)財務官で、慶応大学教授の榊原英資氏に聞いた。
――米国などの報復攻撃をどう見るか
◆報復攻撃は、アフガニスタンに対する限定的空爆と、その後に特殊部隊を投入するという予想通りの動きだが、そう短期間では終わらず、最低1カ月ぐらい続くとみている。
――この間、世界経済は大きな影響を受けると思うが
◆テロ事件や報復攻撃がなくても日米欧は世界同時不況に入っており、報復攻撃で、短期的には世界経済が後退を覚悟しなければならない状態になったといえる。
今回の報復攻撃は湾岸戦争の時と違い、限定的攻撃と徹底した諜報戦で、戦争特需が生まれるようなものではない。米国では報復攻撃が始まり、消費が上向くムードにはならず、01年第3四半期〜第4四半期のマイナス成長は決定的だ。
欧州もドイツなどではすでにゼロ成長状態で、財政的てこ入れも無理。日本は金融、財政両面で効果的な手段は取れない状態だ。何もなくても厳しかった世界経済が、テロ事件や報復攻撃で一層厳しくなったということだ。
――株、為替、原油は
◆報復攻撃はマーケットも折り込み済みで、パニックにはならないとみている。原油価格も落ち込みインフレの危険はないだろう。ただ、報復攻撃が長引けば米株価は下落し、日本や欧州の株価に影響する懸念は残っている。日米欧は今後マーケットの動きを見ながら国際協調を強め、鋭角的な金融危機に陥らないようにすることが重要だ。
[毎日新聞10月8日] ( 2001-10-08-17:59 )