「マネーアングル」逆ざや・赤字で格上げ?―謎の背景に親の七光り 東京 10月8日(ブルームバーグ)

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投稿者 sanetomi 日時 2001 年 10 月 08 日 10:33:56:

米系格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)がこのほど日本団体生命保険(日団)と持株会社を設立、日団の既契約や経営基盤を引き継いだアクサ生命保険とアクサ・グループライフ生命保険の格付け「A+」を「AA」に引き上げた。

「AA」という格付けは、S&Pが格付けしている国内生保の中でアリコ・ジャパンの「AAA」、東京海上あんしん生命、マニュライフ生命の「AA+」に次ぐ水準。

日団の高い予定利率の既契約を抱えたアクサ・グループライフ生命が「逆ざや」の負担を負いながら、「AA」という高い格付けが与えられたことは、最近の生保業界には数少ない明るいニュースだ。

          大赤字だが親のやる気を評価

アクサ生命は日本でビジネスを始めてまだ数年で規模も小さい。一方、アクサ・グループライフ生命は、逆ざやを抱えており、2000年度決算も、提携当初の計画の範囲内とはいえ、両社合わせて1000億~を超える赤字となっている。

ただ、グループライフの赤字は、約4000億円の外貨建て資産の売却、リスク管理債権の処理など資産を再構築する大手術を行ったために生じたもので、そこで生じた損失を埋めるために、両社の親会社でフランスの大手保険グループであるアクサが2060億円の資本を注入した。

今回の格上げは、こうしたアクサ・グループの日本の生保事業に対する強い意欲などを評価したもので、いわば“親の七光り”と考えるべきもののようだ。

S&Pの一針留奈アナリストも「アクサは日本での事業に非常に積極的な貢献をしているうえ、子会社のソルベンシー・マージンを400%以上に維持すると言っている」と格上げの理由を語っている。

          異なる親会社のコミットメント

外資系に名前を変えた会社のうち、GEエジソン生命保険(旧東邦生命保険)、マニュライフ生命保険(旧第百生命保険)と、アクサとを比較すると、大きな違いは親会社のコミットメントだ。

GEエジソンとマニュライフの場合、まず、合弁会社としてスタートしたが、新契約が伸びない一方、経営への不安を払拭できず、解約が増え、1年もせずに破たんした。

合弁会社設立当初から、営業権を譲渡し契約の維持管理会社となる旧東邦、旧第百の先行きへの懸念があり、親会社も、この重荷を背負った会社を支援する姿勢を示さなかった。

この点、アクサは、アクサ・グループライフを契約維持会社とせず、日団の特色である団体保険の会社とし、持株会社の下での一体感や必要があれば追加支援を行うことを再三強調した。

「初めから破たんを見越す」

GEエジソンの親会社のGEグループやカナダの大手保険グループであるマニュライフ・ファイナンシャル・グループの立場からすると、巨額の資金を要する支援を安易に表明すれば、親会社の株主の反発を招く懸念があったと両グループの関係者は語るが、日本では、両社の態度は「初めから破たんすることを見越している」とみられた。

GEエジソンもマニュライフも契約管理会社の破たん後は業界の出し合った資金で設立した生命保険契約者保護機構の資金で債務超過を解消し、予定利率の引き下げなど契約者にとっては受け取る保険金や年金額の減額につながる契約条件の変更によって財務面の健全性を取り戻し、出直した。しかし、新たな出発の直後は、解約が殺到、会社の規模は大幅に縮小した。

         日団の販売チャネル温存

アクサの経営統合が成功したもうひとつの理由は、日本団体生命が全国の商工会議所を通じた販売チャネルを、がっちりとつかんでいたところにあるという点でも、多くのアナリスト・業界関係者の意見が一致している。

アクサ傘下に入った2000年度は、前年度よりも解約が減少した一方、アクサ生命とアクサ・グループライフの個人保険の新契約の合計は前年の28.4%増と大幅な増加となった。

保有契約高でみても、団体保険と個人年金保険は10%前後減少したが、個人保険は前年と横ばいで、経営体制の変更直後のわりには営業が弱体化しなかった。

            続く逆ざやの負担

97年の日産生命の破たん後、生保業界は、契約者の信頼がいかに重要かを実感する出来事を何度も体験した。ある会社の経営破たんは、財務力のない会社の経営をさらに追い詰めてしまう。以来、消費者の信頼を取り戻すことが業界各社にとって至上命題となっている。

アクサ傘下の2社の場合、契約者の予定利率を引き下げなかったこととで顧客の信頼を守り通したことが営業成績にも反映している。だが、その代償として逆ざやの負担は、これからも続く。これを克服するため、新契約の積み上げと事業費削減など経営の効率化がこれからの同社の課題だ。

東京 竹内 カンナ Kanna Takeuchi JK


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