投稿者 sanetomi 日時 2001 年 10 月 08 日 04:22:56:
米国の報復活動開始は、米国を中心に世界の金融市場に少なからぬ影響を与えそうだ。米国経済への打撃やテロリストによる米国への報復攻撃も懸念されるため、短期的には米国株とドルが売られる可能性がある。長期的には「市場の行方は今後の軍事状況次第」との見方が大勢で、軍事行動が泥沼化すればマーケットの混乱も深くなりそうだ。
「ニューヨーク証券取引所が2次テロの標的にでもなれば、経済への影響は計り知れなくなる」。テロ事件後に再開した株式市場では、こんな不安感が雪だるま式に膨らみ、9月17〜21日の1週間でダウ工業株平均は14・3%安と、週間ベースで史上4番目の急落となった。
株式市場は、米国の軍事行動と報復テロの危険性をかなりおり込んで値を下げた面がある。それでも「攻撃が始まれば、とりあえず売る」とトレーダーの多くは口をそろえていた。
報復後の見通しがはっきりしなければ、米国株の不安定さは増し、中南米から、日本、アジア、欧州へと波及して世界同時株安を再び招く恐れがある。株式市場の混乱が各国の通貨、債券市場へ拡大する可能性もある。最近では98年のロシア危機に端を発した世界的な金融危機のような事態が再来しかねない。
最悪の事態を避けようにも懸念材料が多い。「91年に起こった湾岸戦争は、米国の経済の回復力を弱めた」とエコノミストのアレン・サイナイ氏。米経済は景気低迷の状態にあり、軍事行動が長引けば、個人消費が減退し、企業業績はさらに悪化、株価をさらに下押しする。ドル売り圧力も強まりかねない。
米国株やドルを離れた投資資金は、より安全とされるスイス・フランや金、欧州の国債などにとりあえず流れそうだが、世界経済の血液として膨張し続けるマネーが漂流する可能性もある。
ただ、市場は悲観ムード一色ではなく、楽観的な見方もある。「軍事行動開始と同時に悪材料出尽くし感から、相場下落に歯止めがかかる」と、一部のトレーダーは予測する。湾岸危機・戦争の際も、イラクがクウェートに侵攻した90年8月から株価は下落し続けたが、米国を中心とする多国籍軍の攻撃開始と同時に、不安感が後退し、上昇に転じた。
今回も「テロリストの拘束やテロ集団の壊滅など、具体的な成果が見え始めれば、相場は一気に上昇に転じる可能性がある」(大和証券アメリカ)という見方もある。米国エコノミストの間でも「市場では不安心理ばかりが先行しすぎている。実際の攻撃が市場の予測ほど大規模でなく、景気への影響も限定的と分かれば、株価は底を打って反騰する」という分析も少なくない。(03:35)