投稿者 sanetomi 日時 2001 年 10 月 04 日 18:49:21:
静岡 10月4日 (ブルームバーグ):日本銀行政策委員会の田谷禎三審議委員は4日に静岡市内のホテルで行った講演や記者会見で、伝統的な金融政策手段の限界を認め、むしろ金融政策の効果を有効にするため不良債権の早期処理の必要性を強調した。
田谷氏は不良債権処理は「早ければ早い方がいい」と述べ、そのために公的資金投入も容認する考えを示した。個人的な見解ではあるものの、公的資金投入問題に一石を投じた格好だ。
政府側では、金融庁が公的資金投入は必ずしも必要ではないとの見解を発表している。また小泉純一郎首相も3日の国会答弁で、「不良債権処理原資は業務純益を基本にすべき」と発言、公的資金問題への言及を避けている。
田谷氏はこの日、公的資金投入を暗黙の前提にした日銀の取るべき政策についても言及。公的資金投入で国債を増発した場合には、長期国債の買い切り増額についての「可能性を考えている」と述べた。
また整理回収機構(RCC)が不良債権の買い入れに際して、「短期的に多額の資金が必要になった場合、日銀の出番もあるかもしれない」と述べ、資金面での協力を惜しまない考えを示した。
不良債権処理を進めるには、公的資金が必要になるとの意見は根強くある。投入した場合には、日銀の協力などの検討も進められている。田谷氏も指摘するように、あとは「政治の判断」だけだ。
すでに大手行には公的資本注入が行われたが、経営責任についてはあいまいなままとなった。今後は、国民の納得を得るための経営責任問題と合わせて、公的資金問題が現実の政治的な争点となってきそうだ。
一方、田谷氏は、金融政策について、「今までの延長線上にないところで日銀ができることがあるのではないか」と述べながらも、具体的な方策は明らかにしなかった。通常の政策手段を失った日銀にとっては、難しい模索が続く。
静岡 浅井秀樹 Hideki Asai TA
## 禁じ手使うしかなかろう。