どの銀行が「暴落株」で潰れるか〜【ペイオフ】あなたの預金は守られない〜徹底調査 9月中間決算は史上最悪に(週刊現代オンライン)

 ★阿修羅♪

[ フォローアップ ] [ ★阿修羅♪ ] [ ★阿修羅♪ 国家破産2 ]

投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 10 月 04 日 02:17:11:

同時多発テロによって始まったアメリカの「報復大作戦」に目を奪われているうちに日本経済は落ちるところまで落ちてしまっていた。メガバンクの中間決算が赤字であることが次々と公になり、国内のほとんどの金融機関が危機的状況にあることが判明した。われわれはいったいどこに財産を預ければいいのか。

●「含み損合計4兆5000億」

9月の中間決算期を迎え、銀行各行の経営状況が次々と明らかになってきたが、いずれも目を覆わんばかりの惨状だ。
5月発表の中間決算見通しでは1500億円の黒字としていた三菱東京フィナンシャル・グループ(東京三菱銀行、三菱信託銀行の持ち株会社)すら、数百億円の赤字に転落することになりそうだ。
同じく900億円の黒字の見通しだった、みずほホールディングス(第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行の持ち株会社)も2600億円の赤字になると発表するなど、メガバンクを筆頭に、ここへきて銀行が軒並み経営の悪化に直面している。
この惨状の最大の原因は、深刻な株価の低迷にある。銀行が所有していた株価が急落し、経営に大打撃を与えているのである。
「日本では主に金融機関が株を保有しているので、株価が下がると、その影響が銀行と生命保険会社に集中するのです」(BNPパリバ証券アナリスト・小田切尚登氏)
今年3月末時点では、日経平均で1万3000円前後、TOPIXで1300ポイント前後だった株価が、現在は、それぞれ9500円前後、1000ポイント前後にまで下落している。
「この半年間の株価下落の大きな原因は輸出産業の業績悪化です。アメリカのITバブル崩壊で、半導体・機械・電機などの対米輸出が激減し、株価全体に影響を与えたのです」(大和総研経済調査部長・岡野進氏)
その結果、大量の株式を所有している銀行・生保が、株安の直撃被害を受けた。
では、銀行の含み損は、いったいどれくらいあるのか。JPモルガン証券は、「大手銀行全行が含み損に陥り、その総額は2兆円強に達する」と推計しているが、そんな程度では済まないという指摘が少なくない。
「大手銀行で、あわせて4兆5000億円以上の含み損があるといわれており、9月末時点ですべての銀行、日生以外のすべての生保に含み損が出ると予想されています」(証券アナリスト・植木靖男氏)
ある外資系証券会社の内部資料には、さらに衝撃的な推計が出ている。この資料を見た都銀幹部は言う。
「見てびっくりしましたよ。にわかには信じがたい数字ですが、一番多いメガバンクの含み損が1兆円を超えており、少ない銀行でも1000億円を超えていると分析していましたから」
このように、銀行・生保とも、株価の急落で莫大な含み損を出しているのは確実なのである。後で詳しく述べるが、この状況がさらに厳しくなれば、弱小な地銀、第二地銀はもちろん、4大メガバンクといえども潰れる可能性が出てくる。

●「100億単位」の評価損がぞろぞろ

銀行・生保が保有する株の価格が実際にどれだけ落ち、どれだけの損失をこうむっているのか、本誌は緊急調査を行った。
具体的には、大手金融機関所有株のうち代表的な「暴落株」を、各金融機関が'01年3月から現在まで持ち続けたと仮定して、その間の「目減り」額を算定してみたのである。
その結果を以下に列挙していこう(目減り総額=目減り額{'01年3月30日と9月21日の株価の差額}×所有株数、総額の億円未満は切り捨て。保有株数は『会社四季報2001年夏季号』による。さくら、住友分は三井住友にまとめた。企業名は一部略称を用いた)。

●大手都銀

〈第一勧業銀行〉
企業名 ・・・・・・・目減り総額
信越化学 ・・・・・・・141億円
富士通 ・・・・・・・366億円

〈富士銀行〉
キヤノン ・・・・・・・371億円
リコー ・・・・・・・143億円
大日本印刷 ・・・・・・・143億円

〈日本興業銀行〉
新日鉄 ・・・・・・・129億円
日産 ・・・・・・・192億円
大日本印刷 ・・・・・・・137億円

〈東京三菱銀行〉
三菱電機 ・・・・・・・234億円
ソニー ・・・・・・・728億円
トヨタ ・・・・・・・1785億円
ホンダ ・・・・・・・883億円
任天堂 ・・・・・・・379億円

〈三井住友銀行〉
NEC ・・・・・・・391億円
松下電器 ・・・・・・・828億円
ソニー ・・・・・・・773億円
デンソー ・・・・・・・321億円
野村証券 ・・・・・・・476億円

〈三和銀行〉
デンソー ・・・・・・・245億円
トヨタ ・・・・・・・2784億円
任天堂 ・・・・・・・379億円

〈東海銀行〉
デンソー ・・・・・・・321億円
トヨタ ・・・・・・・2297億円
ホンダ ・・・・・・・548億円
リコー ・・・・・・・143億円
任天堂 ・・・・・・・314億円

〈あさひ銀行〉
松下電器 ・・・・・・・354億円
TDK ・・・・・・・191億円
三洋電機 ・・・・・・・215億円
イトーヨーカ堂 ・・・・・・・178億円

〈大和銀行〉
任天堂 ・・・・・・・362億円
野村証券 ・・・・・・・333億円

●大手生保

〈日本生命〉
日立 ・・・・・・・386億円
NEC ・・・・・・・466億円
松下電器 ・・・・・・・697億円
トヨタ ・・・・・・・2528億円
ホンダ ・・・・・・・509億円

〈第一生命〉
武田薬品 ・・・・・・・316億円
日立 ・・・・・・・272億円
東芝 ・・・・・・・284億円
日産 ・・・・・・・354億円
イトーヨーカ堂 ・・・・・・・295億円

〈住友生命〉
日本板硝子 ・・・・・・・125億円
NEC ・・・・・・・572億円
松下電器 ・・・・・・・651億円
三洋電機 ・・・・・・・201億円

〈明治生命〉
信越化学 ・・・・・・・111億円
新日鉄 ・・・・・・・109億円
三菱電機 ・・・・・・・241億円

〈朝日生命〉
古河電気 ・・・・・・・176億円
富士通 ・・・・・・・574億円
あさひ銀行 ・・・・・・・105億円

〈安田生命〉
あさひ銀行 ・・・・・・・139億円

〈三井生命〉
イトーヨーカ堂 ・・・・・・・201億円

ここにあげたのは銀行・生保が保有する株のうち、ごくわずかなものを取り出しただけだ。だが、見てのとおり、単純計算で、数千億円の評価損がでているところがほとんどである。全保有株の評価損を計算すれば、もっと悲惨な数字になるのは間違いない。

●都銀の「回答」は信用できるか

果たして、ここまで下落したいまの株価水準(9月26日現在、日経平均9641円、TOPIX998ポイント)で、金融機関には多少なりとも含み益が残っているのだろうか。
生保各社は「含み益がゼロになる日経平均株価水準(損益ゼロ水準)」を公表している。水準が低いほど、その生保には「体力」があるということになる。
大手生保7社の'01年3月末時点での損益ゼロ水準は、日経平均株価で、

日生=8600円
第一=1万800円
住友=1万2900円
明治=1万400円
朝日=1万4700円
安田=1万1500円
三井=1万3700円

と発表されていた。現在はどうなのか。
本誌はこれら7社に対し、「日経平均、TOPIXそれぞれにおいて、どれくらいの水準になると含み損益がゼロになると想定しているか」を問い合わせた。質問に対する7社の回答を列挙しよう。
「当社の損益ゼロ水準は、'01年3月末時点で日経平均が8600円、TOPIXが850ポイントですが、現在は3月末時点より若干低下しております(本誌注=財務状況が“より”改善されているということ)」(日本生命)
「現在は日経平均で9000円台後半、TOPIXで1000ポイント前後です」(第一生命)
「日経平均は3月時点では1万2900円と発表したが、2000円程度下がっています」(住友生命)
「株式の銘柄入れ替えを行っており、ゼロ水準は3月末よりも大幅に低下しています」(明治生命)
「3月末と比較して含み損益ゼロ水準は低下する見込みです」(朝日生命)
「東証日経平均1万1500円、TOPIX1150ポイント」(安田生命)
「日経平均は(3月時点より)1000円程度下がっています」(三井生命)
ご覧のとおり、各社とも、「ゼロ水準は下がっており、財務状況は改善している」と答えているのだが、それでも具体的な数字をあげた日生以外の生保のゼロ水準株価は、現在の株価よりも高い。つまり、これら生保はすべて含み損が出ていることを認めているのである。
大手都銀にも、生保と同様の質問をしたところ、「当行が保有している株式は日経平均、TOPIXとは連動していない」と、多くの銀行が回答してきた。つまり、日経平均株価が落ちても、必ずしも含み益は減少しないというのだが、本当だろうか。専門家は、次のように否定する。
「大手銀行の場合、保有株もTOPIXの変動に対して、ほぼ8割程度の比率で連動します。たとえばTOPIXが10%動くと、銀行保有株は8%動くという感じです。市場平均と若干の違いがあるのは、銀行の場合、自動車・電力・ガスの比率が平均より高く、電機と通信の割合が平均より低いからです」(前出・岡野氏)

●「倒産先送り企業が30社ある」

株価の含み損が出ることが、いまなぜこれほどまでに問題にされるのか。その理由は、この9月中間決算から義務づけられた有価証券の「時価評価」という新システムにある。
従来の会計制度では、株式などの有価証券は、買ったときの価格(簿価)で算定して財務諸表に反映すればよかった。つまり、買ったときの株価から大きく値を下げても、会計上は簿価で計算するため、企業の会計に与える影響は小さかった。
ところがこれからは、簿価ではなく時価(現在の株価)で算定し、しかも、含み損の6割を、配当原資や自己資本の一部である剰余金から差し引き、強制的に損失処理を行わねばならなくなった。
「今後、金融機関はこれまで剰余金でまかなってきた不良債権の処理ができなくなる。自己資本にも影響が出て、銀行の格付けが下がり、銀行株も下落する。そうなると、国際金融界での邦銀の評価が下がり、ジャパンプレミアム(日本企業に対する上乗せ金利)が復活してドル調達コストが上がる。要するに、公的資金の第1次注入時とそっくりの状況になるのです」(金融ジャーナリスト・斎藤裕氏)
また、銀行の国有化の可能性も出てくる。
「銀行は公的資金の注入と引き換えに、国に対して優先株を差し出しています。ところが、剰余金が含み損処理に充てられて自社株への配当ができなくなると、優先株が普通株になってしまうのです。そうなると、国は普通株の所有者と同様、銀行経営に対する議決権をもてるようになる。つまり、場合によってはその銀行を国有化することもできるようになるのです」(前出・小田切氏)
生保への影響も甚大だ。生保には、経営の健全性を示すソルベンシーマージン(SM=支払い余力)という指標がある。含み益が減少したり、含み損が増大すると、このSM比率が低下する。そうなると利用者の生保離れが加速する恐れがあり、それはそのまま経営破綻の道へとつながりかねない。
つまり、含み損は、まさに金融機関の死活に直結する大問題なのである。
その含み損を、すべての銀行と日生以外の生保各社が抱えている可能性が高いことは、すでに見てきたとおりだ。その結果、9月の中間決算(銀行のみ)は、史上最悪になることが予想される。
「みずほに限らず9月の中間決算はどこも赤字決算でしょう。無理して黒字を装っても、将来必ずツケが回ってくる」(フィスコ・チーフアナリスト・田中勝博氏)
金融機関、とりわけ銀行をさらなる苦境に追い込む要因はまだまだある。
その要因のひとつは'02年4月からのペイオフ解禁(銀行が破綻した場合、1000万円を超える定期預金は保護されなくなる)である。つまり、あなたの預金は最低限しか守られないのだ。本誌で指摘してきたように、実際にこの「解禁」に備えて預金者の定期預金離れがすでに起こっている。
国内銀行が7月中に受け入れた定期預金は、日銀によると、前年同月比12.3%減。預入額1000万円以上の新規定期預金の落ち込みはさらに激しく、前年同月比17.2%減となった。一般預金者は普通預金や郵便局に預貯金を移したり、より安全と判断した銀行に口座を開いたりと、生活防衛を始めているのだ。銀行も預金者に厳しく選別される時代になったと言えよう。
景気の後退にともなう大型倒産も銀行にとって「大逆風」となる。マイカル破綻によって、みずほホールディングスも9月中間決算で赤字に転落すると発表している。
「法的手続きによる再生(事実上の倒産)を先送りしている企業は、ゼネコン・流通だけで30社あるといわれている。たとえば、先日、ダイエーがストップ安をつけました。三和、東海、富士、住友を主要取引銀行としていたダイエーが万一破綻することになれば、UFJホールディングス(三和、東海、東洋信託の持ち株会社)が赤字転落することは間違いありません」(経済評論家・黒田禄郎氏)

●恐怖の11月危機がやってくる

さらにテロに対する米国の報復戦争も銀行に対して逆風要因になる。
「日本は米国に支援金を出す可能性が高いが、その場合は湾岸戦争のときのように臨時で特別国債を出してまかなうことになるだろう。市場ではそれを『小泉ボンド』と呼んですでに警戒している。というのも、小泉ボンド大量発行のために、現在は含み益の出ている発行済みの国債が暴落する恐れがあるからだ。大手銀行が所有している国債は約60兆円。かりに1%下がっても約6000億円の目減りだし、10%下がると6兆円もの評価損が出る」(前出・植木氏)
こんな泥沼状況のなかで、銀行は大丈夫なのか。
「みずほはネットワークなどの潜在能力はあるが、規模が大きい分、不良債権も多い。財務力に優れているのは東京三菱だが、収益力では三井住友が上といったように、4大グループといえど、ドングリの背比べの状況です」(前出・小田切氏)
4大メガバンクでさえ青息吐息の状況なのだから、地銀以下はさらに悪い。
「4大メガバンクは、ダメになるということはないと思うが、細々と食いつないでいくことになるでしょう。私は、平均株価が6000円台まで下がると見ています。そうなれば、金融機関の含み損が極端に膨れ上がり、地銀などでは潰れるところも出てくるでしょうし、国有化への道を歩む銀行も出てくると思います」(関西大学名誉教授・上田昭三氏)
銀行に加えて生保の危険性を指摘するのは前出の田中氏だ。
「これまでよく銀行は配当してこれたものだと、つくづく思いますね。年内に正念場がもう一度くる。メガバンクも含めた再編があるでしょう。生保は業界下位から1〜2社、順番に破綻する危険がある」
そしていま、ささやかれ始めたのが9月危機に続く「11月危機」だ。
「欧米の金融機関は12月が決算です。その決算に向けて、日本から大量の資金を引き上げる可能性がある。そうなったら何が起きても不思議ではない。最大のクライシスが11月に起きる可能性が大いにあるのです」(西南学院大学経済学部教授・及能正男氏)
史上最悪が懸念される9月中間決算を乗り越えても、危機は次々とやってくる。あなたの預金は本当に大丈夫か。

フォローアップ:



  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。