投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 10 月 02 日 15:49:47:
米中枢同時テロによる国内航空業界と観光業界の被害額は二日、六百三十億円に上る見通しとなった。同日、名古屋市の旅行会社が予約キャンセルが相次ぎ自己破産を申請していたことが分かるなど、影響は深刻で、「米軍の行動が始まれば打撃は大きくなる」との声も。損害保険会社による旅客機の補償金限度額引き下げに政府が補てんを保証することが同日、決まるなど支援策は整いつつあるが、かきいれ時の年末年始の旅行需要予測は厳しく、打撃から立ち直るには、まだ時間がかかりそうだ。
「エアラインは存続の危機にさらされている」−。事件後、旅行客の激減に加えて保険料の引き上げや補償リスク増大が直撃した国内航空業界。先月末、航空会社でなる定期航空協会・兼子勲会長(日本航空社長)は、こう窮状を訴えた。
政府は二日、損害保険の補償金限度額引き下げに対する支援策を決め、路線廃止などの危機はひとまず脱したが、肝心の乗客が戻ってこない。大手三社の米国便の旅客は53%減、旅客・貨物の減収は、わずか二週間で百七億円にも上った。
国内空港では搭乗の際の厳重な保安審査が続いているものの、「修学旅行のキャンセルが相次ぐなど、万が一を考慮して空の旅を回避する傾向は強い」と、関係者の苦悩は深い。
旅行業界でも事件発生後、キャンセルが相次ぎ、被害総額は八社で五百二十億円にも上った。国土交通省観光部は「年間取扱額の二割近く。想像以上」と語る。
大手旅行代理店JTBは、九月分の全予約客の46%に当たる九万二千人のうち四万三千人がキャンセル。ハワイなどを含む米国方面が三万五千人、その他も八千人で、「米国だけでなく、他の地域へもとりやめが出ているのが気がかり」と関係者は語る。
旅行業界にとって気候がよくて混雑の少ない九−十一月は、カナダの「紅葉のメイプルツアー」など熟年層を中心に人気の高いシーズン。熟年層は比較的時間に余裕があり、さらに今回のテロで旅行会社が特例措置としてキャンセル料を無料としたこともあり、九月のとりやめが相次いだ。
旅行業界では、今月から年末年始の旅行予約の受け付けが本格的に始まるが、「例年に比べて動きは鈍く、様子見という感じ」(日本旅行業協会)という。
湾岸戦争が発生した平成三年には海外旅行者数は前年の一千百万人から一千六十三万人に落ち込んだが、約六カ月で回復。翌四年は一千百七十九万人に増加した。テロの舞台が米国中枢だったため衝撃は比較にならないほど大きく、「消費マインドの冷え込みがいつまで続くか心配」(日本旅行業協会)と危ぐする声が上がっている。