投稿者 sanetomi 日時 2001 年 10 月 02 日 09:13:31:
2日の東京株式相場は高安まちまちの展開が見込まれている。1日のニューヨーク外国為替市場で1ドル=120円台と円安が進行したことを受け、割安感のある輸出株が上昇しそうなほか、過剰流動性を背景に不動産や大手ゼネコン株も堅調となりそう。ただ、今後の業績懸念からハイテク株は戻り売りが増える可能性がある。指数も日経平均株価が大台の1万円を上回った水準では伸び悩む公算が大きい。
大和証券SMBCエクイティ部の神内一憲部長は「為替が1ドル=120円という水準が変わったことのプラスの要因は大きい。企業の輸出採算改善期待が強まる。過剰流動性相場を背景に不動産などの一部内需株には資金が流入しやすい。ただ、米国では2001年第2四半期決算のウォーニング(修正予告)シーズンに入っており、業績に不安のあるハイテク株は買い進みにくい」と言う。
下期入りに伴う需給改善期待や円安進行を受けて、自動車など一部の輸出株に買いが先行しそうだ。1日のニューヨーク外国為替市場で円・ドル相場は1ドル=120円台に乗せた。前日に公表された日銀短観(企業短期経済観測調査)では事業法人が2001年度下期に想定している為替レートが1ドル=115円89銭(2001年度は1ドル=116円97銭)との調査結果が示されており、輸出採算改善期待が高まる。
前日の米国株式市場では主要3株価指数が安くなったものの、1日のシカゴ先物市場で取引された日経平均先物9月物は同日の大証終値比20円安の 9960円と下げ幅は小幅にとどまった。このため、朝方はハイテク株への売りは限定されそうだ。株式相場は短期的に戻りを試す展開が見込まれており、日経平均株価は9月19日以来の大台の1万円を回復するとみられる。
ただ、相場の上昇が止まると、業績懸念のあるハイテク株に戻り待ちの売りが増える可能性がある。
日銀は大量の資金供給を実施しており、株式市場はいわば過剰流動性相場の色彩が強まりつつある。下期入りして新規資金の流入も呼び込みやすく、こうした資金は業績の下振れ懸念の小さい不動産、大手ゼネンコン株に向かいそうだ。
一方、1日の米国株式市場では、インテルなどハイテク企業の収益回復が遅れるとの見方が広がった。同時テロの米国経済に及ぼす悪影響はこれから鮮明になるとみられており、国内市場でもハイテク株には売りが出やくなる。市場では「先週末に業績下方修正を発表したNECやソニーは、今後業績見通しを再修正する可能性も否定できない状況」(みずほインベスターズ証券・佐藤政俊シニアストラテジスト)との見方も出ている。
1日に公表された日銀短観では業況感の大幅悪化があらためて示され、今後の国内景気や企業業績に対する懸念は一段と強まっている。前日の相場上昇に関して、市場では日銀短観で業況感の大幅悪化が示されるなど懸念材料は相変わらず山積しているものの、下期入りしたことで目先的な需給面の改善期待から買い戻しが入ったに過ぎない、との指摘も出ている。
1日の米国株式市場と為替市場
週明け1日の米株式相場は下落。インテルなど、収益回復が遅れるとの見方が広がったハイテク株中心に、投資家の売りが出た。一方、薬品株など、景気変動の影響を受けにくい銘柄には引き続き買いが入ったため、相場全体の下げ幅は小幅にとどまった。
2日には注目の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合が開催されるため、市場で大幅な追加利下げが実施されるとの観測が強まったことも、同日の株式相場を下支えした。ブルームバーグ調査によると、プライマリーディーラー(米政府証券公認ディーラー)24社中20社が2日の会合での0.5ポイントの利下げを予想。過半数に当たる13社が、年末までに計1.0ポイントの引き下げが実施されるとの見通しを示している。
ハイテク株の比重が高いナスダック(店頭市場)総合指数は前週末比18.34 ポイント(1.22%)安の1480.46で取引を終了。メリルリンチのアナリストが業績見通しを下方修正したインテルが売られたほか、ロバートソン・スティーブンスのアナリストが下方修正したシスコシステムズも、出来高を伴って値を下げた。S&P500種株価指数は同2.39ポイント(0.23%)安の1038.55で取引を終えた。ダウ工業株30種平均も引け際にやや値を回復したものの、結局 8836ドル83セントと、前週末比10ドル73セント(0.12%)の小幅安で引けた。
また、1日のニューヨーク外国為替市場では、日銀短観で景況感の大幅悪化が確認されたことから、米機関投資家などがドル買いを進め、1ドル=120円 45銭までドルが上昇。引き続き国内株式市場では輸出株には大きなサポート要因となる。
東京 山中英典 Hidenori Yamanaka AKA