投稿者 sanetomi 日時 2001 年 10 月 02 日 03:54:15:
(全体に加筆しました)
三井海上火災保険と住友海上火災保険が1日合併し、収入保険料で4月に合併した、あいおい損害保険と日本興亜損害保険を抜き、東京海上火災保険に次ぐ業界2位になる。
三井住友銀行の合併を受けた三井住友グループの再編の一環として旧財閥系企業集団という強い営業基盤を背景に持つ反面、そのプライドが衝突し融合が進まない可能性も持っており、合併の成否は、まさに経営陣の手腕にかかっている。
「21世紀のナンバーワンを目指す」
この日午前行われたオープニング・セレモニーでは会長に就任した三井海上の井口武雄会長が「21世紀のナンバーワンを目指す」として、合併会社を高い成長力・収益力を持った会社を目指すことを強調した。
90年代後半の自由化により収益性が悪化するとの危機感から急テンポで再編が進む損保業界は、この春に、3社の合併損保が誕生。三井住友海上の合併 後も、来春には東京海上火災保険を中心とする持ち株会社方式を取ったミレア保険グループ、安田火災海上保険を中心とする損保ジャパンが発足する予定となっており、大掛かりな統合の真っ只中。
来春には業界ランキングの1位から5位までをすべて合併または持ち株会社の下に統合された会社で占めることになる。急激な自由化へ対応するため、規模を拡大し、効率化することが不可欠として、2年前から業界全体が再編に奔走、損保大再編劇が幕を開けた。
三井・住友グループの結束を優先
その第2幕である三井住友海上保険の合併は、99年秋に三井住友銀行の統合が決まったため、その直前に日本火災海上保険、興亜火災海上保険との統合の計画を決めていた三井海上が3社連合から離脱、三井・住友グループ内の結束を優先して今の組み合わせとなった。
このため、この合併については「三井住友財閥グループとのタイアップを含め、収入面でのサポートが期待できる」(野村証券金融研究所、倉井新三アナリスト)として、三井住友銀行を核にした三井系、住友系グループ企業の顧客基盤の活用が収益力強化のカギとみられている。
ただし、合併という経営統合の手法は、コストのかかるIT(情報技術)化投資や人件費などの経費削減で期待できるものの、そこに至る過程では、コーポレート・カルチャーの融合から、細かな業務用の書類の一本化まで膨大なエネルギーを費やさなくてはならない。
主導は住友海上?―株は割安との声
両社は資産ではほぼ同レベルで、対等合併であるため、合併後、リーダーシップ争いに陥りかねない危険性をはらんでいる。両社の社長が、会長と社長として共同CEO(最高経営責任者)に就任したことも合併会社のスピード感のある意思決定への懸念に結びついている。
ただし、この点では、2001年3月期の決算説明会などで、三井海上の井口社長(当時)が住友海上の合理的で効率的な面を研究していきたいと言及しており、住友海上主導になるのではないかとする外資系アナリストもあった。
合併会社の株価について、大和総研の柿元竜二シニアアナリストは「営業基盤が異なることや、両社の営業力からして、合算ベースでのシェアダウンの可能性が低いことに加え、最近の業績が予想以上に好調であるとして株価が相対的に割安」と評価している。
また、JPモルガン証券の辻野菜摘アナリスト、日興ソロモン・スミス・バーニー証券の前川弘之氏も、「買い」または「アウトパフォーム」と評価している。
● 再編後の損保グループの2001年3月期と2002年3月期の経営指標(予想)
収入保険料 当期利益 損害率 事業費率ミレア2002年3月 19110 644 59.5 36.5 2001年3月 18589 542 59.9 36.6 損保ジャパン
2002年3月 13166 231 58.9 35.6
2001年3月 12684 211 58.8 36.4 三井住友
2002年3月 11850 300 59.3 36.6
2001年3月 11617 271 58.4 37.3 あいおい 2002年3月 8150 130 62.0 37.1 2001年3月 7928 124 63.7 37.8 日本興亜 2002年3月 6920 145 60.3 36.9 2001年3月 6770 135 61.7 37.4
(単位:収入保険料と当期利益は億円。事業費率と損害率は%)