投稿者 sanetomi 日時 2001 年 9 月 22 日 20:51:46:
ＮＹ株、５日間で１３６９ドルの下落
【ニューヨーク２２日＝坂本裕寿】米同時多発テロ事件後の取引再開以来、ニューヨーク株式市場の
株価が下げ止まらない。２１日のダウ平均株価（工業株３０種）の終値は、８２３５・８１ドルとロシ
ア通貨危機が襲った９８年１０月以来の安値まで落ち込んだ。再開後５日間の下落幅は過去最大の
１３６９ドル、下落率は１４・３％と世界大恐慌時（１９３３年７月）の１５・５％に次ぐ過去２番目
の大きさとなった。
ナスダック店頭市場の総合指数も約３年ぶりの安値となる１４２３・１９で取引を終え、５日間の下
落幅は２７２ポイント、下落率はダウ平均を上回る１６・１％で、ブラックマンデー（８７年１０月）
の１９・２％に次ぐ過去３番目の記録となった。
市場関係者は「テロ事件のショック、先行き不安が解消すれば持ち直す」（米証券アナリスト）との
見方では共通しているが、そのタイミングがいつになるのか見通しは立っていない。
この５日間の値動きを見ると、市場を覆う先行き不透明感は日ごとに強まり、方向感を失いつつ下落
していく様子がうかがえる。
再開初日の１７日、１日の下げ幅としては過去最大の６８４ドルを記録した後、１８日は１７ドル安、
１９日が１４４ドル安、２０日が３８２ドル安、２１日が１４０ドル安となった。
再開当初は、テロ事件で収益悪化が予想される航空、保険などの銘柄が下げを主導したのに対し、その
後はイーストマン・コダック、ボーイング、ダウ・ケミカルなどアメリカを代表する大企業が大規模な
リストラ計画や収益悪化見通しなどを相次いで発表し、米経済全体に広がった先行き懸念が株価を押し
下げた。
さらに米国の軍事行動によって国際情勢が緊迫化する事態を予想し、「買い手不在で底が見えない」
（米投資運用会社）状況が続いている。
株価反転のカギを握る企業収益や、マクロ経済の見通しでも短期的には好材料が見当たらない。
米調査会社ファースト・コールは事件直後、米主要５００社の７―９月期の営業利益を前年同期比１５％
減、続く１０―１２月期は同３％減と予想したが、その後、業績予想の下方修正が次々に発表され、減益
率は一段と拡大するのは必至だ。
一方、景気も事件のショックで「消費への悪影響が著しい」（米連邦準備制度理事会のアラン・グリーン
スパン議長）。小売り、旅行、自動車販売などの落ち込みが早くも現れ、株式市場でもこうした銘柄が値
を下げている。
こうした中、急落する株価がいつ底値を付けるかが最大の焦点となってきた。
歴史的に見ると、有事でいったんは急落した株価も約半年後には回復するケースが多い。９７年のアジア通
貨危機から半年後、ダウ平均は底値から２５・０％、９０年の湾岸危機時には１８・７％それぞれ上昇している。
今回も事件のショックが解消すれば中期的には反発に向かうとする見方があるが、問題はその時期と水準だ。
２１日にはダウ平均が一時、８０６２・３４ドルと８０００ドル割れ寸前まで値を下げたことから、当面
「８０００ドルを試す展開となる」（米大手証券）との見方が強まっている。市場関係者の間では「事件発生
直前の１０日の終値から２０％程度低い７６００ドル台まで下落する可能性もある」（米証券アナリスト）と
いった悲観論も飛び出している。
その一方で２１日に株価が一時、３１３ドル安まで急落した後、ゼネラル・エレクトリック（ＧＥ）が「今年
の収益見通しが予想の範囲内に収まる」と発表したことや政府による米航空産業への支援策の発表などを好感し、
急反発した動きをとらえて「底値に近づいている」（米投資運用会社）とする向きもある。
米金融当局による相次ぐ利下げや大量の資金供給、米証券取引委員会（ＳＥＣ）が自社株買い戻しの規制緩和
措置の延長を決めるなど株安阻止に向けた当局の懸命の努力が効果を上げるとの期待感も高まっている。下げ続
ける株価がいつ反転するか。週明け以降も予断を許さない状況が続きそうだ。
(9月22日20:24)
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。