投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 11 月 09 日 22:23:33:
今年度の実質経済成長率をマイナス0・9%とする内閣府の見直し試算は、小泉純一郎首相が掲げる構造改革の「痛み」の大きさを国民に強く認識させる結果となった。政府はこの試算を経済・財政政策の運営に活用していくことになるが、景気情勢はさらに下ぶれする可能性が強く、小泉首相の構造改革路線は大きな岐路に立たされることになった。
(石垣良幸)
今年度マイナス0・9%成長を達成するには、今年七−九月期から、来年一−三月期までの四半期ごとに前期比マイナス0・3%程度の経済成長が必要となる。
だが、米中枢同時テロの影響や狂牛病の発生などで、景気の悪化は急速に進んでおり、「マイナス0・3%」という“低い”ハードルすらクリアすることは困難な情勢だ。
内閣府は、今回の見直し作業を進めるなかで、マイナス1%を上回る数値も検討していた。しかし、マイナス1%という大台乗せをめぐっては、与野党の強い反発も予想されたため、政治的な配慮も見え隠れする中で、最終的にはマイナス0・9%という数字に収まった。
鳴り物入りで補正予算に盛り込まれた「改革先行プログラム」だが、今年度の経済効果は軽微であり、臨時教員や森林作業員などの新公共サービス雇用をはじめとする雇用創出効果は「今年度は数万人程度」(内閣府)に過ぎない。制度改革や中小企業対策などの構造改革の効果にいたっては「数値化するのは難しい」(同)状態だ。
だが、足下の経済状況をみると、鉱工業生産の大幅な落ち込みに加え、完全失業率も過去最悪の水準に達している。堅調な消費が辛うじて「歯止め役」(竹中平蔵経済財政担当相)になっている状態だ。この歯止めが外れれば、日本経済が悪循環に陥る懸念も強まる。
今年度の名目成長率が大幅な落ち込みを見せるなかで、「このままでは来年度の税収はさらに二、三兆円規模で減る可能性もある」(内閣府幹部)との見方もあり、来年度予算で国債発行額三十兆円以下に抑えるという小泉首相が本来掲げた公約の達成すら微妙な情勢だ。