投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 11 月 09 日 16:31:24:
9日発表された今年度政府経済見通しの内閣府見直し試算で、国内総生産(GDP)の名目成長率の大幅減少は、デフレスパイラル懸念を高めるばかりでなく、税収減を招いて財政構造改革に打撃を与える可能性もある。
政府は当初見通しの名目GDPプラス1%を前提に弾いた税収(50兆7000億円)を、景気の悪化から49兆6000億円に減額したうえで、今年度の国債発行額を30兆円に抑えることにしている。しかし、内閣府の試算で今年度の名目GDPはマイナス2・3%と大幅に落ち込むことになり、これを前提にすれば、計算上の税収は49兆円弱まで減少する。見直しは内閣府の独自試算とはいえ、税収減を国債発行増で補えば、結果的に30兆円枠を突破する公算が強まった。
さらに、来年度も、名目GDPが5年連続のマイナスとなることが確実視されており、「30兆円抑制」が一層困難になる。来年度もマイナス2%となった場合の税収は47兆円半ばで、従来の前提より3兆円下回る計算になるからだ。かといって30兆円枠堅持のためにその分を歳出削減すればデフレを加速させかねない。
害ばかりが目立つ野放図な積極財政への転換は好ましくないが、歳出見直しにあたって「量」の削減より「質」の向上を優先させるなど、財政健全化にあたっては深刻さを増すデフレへの配慮も欠かせない状況だ。【白戸秀和】