投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 9 月 21 日 00:05:14:
金融庁が特別検査で「不良債権予備軍」といわれる要注意先債権にメスを入れる姿勢を打ち出したことに対し、大手各行には「かなりの打撃は避けられない」(役員)との不安の声が広がっている。検査では、銀行が債権放棄した後も、業況が悪化しているゼネコンなどに対する自己査定が厳しくチェックされる見通しで、企業によっては「最大の危機」を迎える可能性もある。さらに多額の引き当てを迫られれば、銀行の経営基盤も直撃を受けることになる。
ゼネコンへの債権放棄が相次いだ99年以降、公共工事は減少。販売用不動産の時価会計など会計制度の変更も行われ、一部ゼネコンの株価は、額面の50円を割り込むなど苦しい状況が続いていた。国土交通省も、ゼネコン倒産に備え、取引銀行に求める保証金額(履行保証額)を3倍に引き上げる方針を固めるなど選別は待ったなしの状況だった。
一方、銀行は景気悪化で不良債権が減らず、株価下落で不良債権の処理原資も枯渇している。「ゼネコンは斜陽産業で、数を減らさざるを得ない」(大手行首脳)のは明白だが、整理する体力もなく、支援を続ける体力も残されていない状態とも言える。特別検査で、現在3〜5%の引き当てにとどまっている要注意先債権に、資産内容に応じた十分な引当金を積むことを迫られれば、自己資本の減少は避けられない。
仮に、検査でゼネコンの債権が「要注意先」から「破たん懸念先」に転落すれば、担保を除く融資に70%もの引当金が必要になるうえに、追加融資も不能になり、融資先の経営破たんに直結する。「検査がどこで線引きしようとしているのか。こっち(銀行側)は一体、どこを死守ラインに据えればいいのか」(大手行幹部)と、銀行側は不安を隠せない。【藤好陽太郎】
[毎日新聞9月20日] ( 2001-09-20-23:26 )