投稿者 sanetomi 日時 2001 年 9 月 20 日 05:45:58:
不良債権:要注意先債権の引き当て強化が焦点 慎重論も
債権放棄ガイドラインが不良債権問題の解決策として後退した結果、整理回収機構(RCC)の機能拡充と「不良債権予備軍」とされる要注意先債権の引き当て強化が焦点になってきた。公的資金の投入につながる議論だけに慎重論も根強く、最終的には小泉純一郎首相の決断に委ねられそうだ。 【木村旬】
★国家関与の是非
RCCが自民党に示した機能拡充は銀行の不良債権を簿価に近い高値で買い取る構想で、買い取り資金は日銀融資に政府保証をつける案が有力。政府・与党には「銀行任せでは処理が進まない」との不満が強く、「国が乗り出して一気に処理する」という発想だ。
ただ、買い取った不良債権を処理した際、損失が出ると国民負担に直結するだけに、自民党はRCC案をそのまま採用するのには及び腰だ。柳沢伯夫金融担当相は「公的資金の投入を受けた銀行の自助努力が筋」と国家介入には慎重だ。
★予備軍の扱い
破たんしたマイカル向けの融資が、半年前の各行の自己査定で「要注意先債権」だったことで、査定の甘さも問題になる。木村剛KPMGフィナンシャル社長は「要注意先のゼネコンや流通など大手30社の引き当てを大幅に強化し、銀行が資本不足に陥れば公的資金投入を」と18日、小泉純一郎首相に進言した。
金融庁は「格付けや株価を取り入れ、査定見直しの頻度も増やす」と一定の引き当て強化を表明したが、「引き当てを大幅に積み増せば銀行は新規融資ができなくなり、企業をつぶすのと同じ。会計原則を無視した議論」と木村氏に反発する。
不良債権処理は小泉改革の目玉で、処理の遅れに小泉首相もいら立ちを強めている。ただ、19日の参院予算委員会では「RCC拡充は決まったものはない」と慎重な言い回しに終始し、政府・与党内でも決め手が見つからないようだ。
[毎日新聞9月20日]