投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 9 月 17 日 23:44:20:
【ニューヨーク17日=坂本裕寿】
米同時多発テロ事件による取引停止から約一週間ぶりに取引が再開された17日午前のニューヨーク株式市場は、取引開始直後から売り注文が殺到し、ダウ平均株価(工業株30種)、ナスダック店頭市場の総合指数はともに急落して始まった。テロ事件による米経済の不況入りが懸念されることや、米国の報復攻撃を巡る国際情勢の緊迫化などから投資家の先行き不安が高まり、売りが売りを呼ぶ展開で下げ足を速めている。
米連邦準備制度理事会(FRB)が市場の意表を突いて緊急利下げに踏み切ったが、株価急落を食い止める効果は出ていない。日本や欧州などをはじめとする世界同時株安への懸念も根強く、今後の相場展開は依然として予断を許さない状況だ。
午前10時(日本時間午後11時)現在、事件直前の10日終値と比べて、ダウ平均は530・17ドル安の9075・34ドルで取引されている。取引時間中の今年の最安値(9106・54ドル)を下回っている。ナスダック指数も同時刻現在、100・13ポイント安の1595・25と今年の最安値(1619・58)を下回る水準で推移している。
この日の急落は、テロ事件の影響が経営を直撃すると見られる航空、保険、小売り、金融などの大型優良株が軒並み売られたことが引き金となった。ナスダック市場も、事件の影響で経営悪化が進むと見られるハイテク株が売り込まれている。
米経済減速を受けた企業の収益悪化で、ニューヨーク株式市場は8月下旬から急速に下落基調を強め、ダウ平均、ナスダック指数とも今年の最安値寸前まで落ち込んでいた。そこへテロ事件による心理的ショックが加わったことが、株価の大幅安につながっている。
米報復攻撃観測を背景に業績を伸ばすとの見方が出ている防衛関連など一部には買いも入っているが、通常を大幅に上回る売り注文に押され、下げ足を速めている。
市場では「航空業界に象徴されるようにテロ事件が米経済に大きな打撃を与え、企業収益の回復は大幅にずれ込む。株価長期低迷は必至だ」(米証券アナリスト)との見方が強まっている。
ニューヨーク株式市場は、事件が発生した11日から4営業日連続で取引が停止された。ニューヨーク証券取引所(NYSE)の長期閉鎖としては世界大恐末期の1933年以来、約70年ぶりの異常事態となっていた。
テロ事件で多くの金融機関が入居していた世界貿易センタービルが崩壊したほか、隣接するウォール街周辺の施設や通信網などが大きな打撃を受けた。取引を支える金融機関の多くの社員がセンタービル崩壊の犠牲になり、一時は市場機能が完全にまひする事態となっていたが、懸念されたインフラ面でのトラブルはなく円滑な取引が続いている。
(9月17日23:33)
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