投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 8 月 06 日 18:27:21:
大和銀行について、多くの方からご照会が参っておりますので、私なりの考えを述べさせて頂きます。
まず、具体的な数字ですが、以下の通りです。
余剰金 86億円
有価証券含み損 634億円
このような惨憺たる状態に陥っています。このような状況下において、果たして再建が可能かどうか?
今の邦銀で、問題は、<利ざや>が少なすぎるという事につきます。
日本の銀行の利ざやは、殆どが、1%以下になっています。
(東京三菱では、僅か0.12%)
ところが、高収益でなる、<シティーバンク>は、何と4%以上あるのです。
仮に1兆円を貸した場合、東京三菱銀行ですら、12億円しか儲けていないのです。
シティーバンクは、400億円もの儲けを出しています。
12億円 対 400億円
大和銀行も、同様な状況であり、今後、この利ざやを改善させないと、どのような策をとろうとも再建は不可能なのです。
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(報道)
「大和銀行にとって経営上の最大の問題点は、配当可能利益(剰余金)が極めて低い水準にとどまっていることにあったと言えるだろう。“優先株”という形で、公的資金による資本注入を受けている同行にとって配当可能利益が枯渇し仮に無配という事態に陥ったならば、国が保有する優先株に議決権が発生し、結果的に“国有化”という最悪の状況を招いてしまう。大和銀行が持ち株会社化を志向したのも、そうした最悪のシナリオを回避するためだった可能性が高い」(大手都銀首脳)
このコメントを正しく理解していただくためには、少々の補足説明が必要だろう。
2001年3月決算において大和銀行は赤字決算をしてしまったために、同行の配当可能利益(剰余金)は100億円の水準を割り込んでしまった。
しかも、その一方で今年度決算(2002年3月期)から、保有株式に対して時価会計が導入されたことにより、保有株式の含みがマイナスになった場合には、その含み損の6割相当額が配当可能利益から差し引かれることになった。
「このため大和銀行は、株価水準次第で配当可能利益の残高が、配当金を下回りかねない状況になってきたのです。つまり、無配転落の可能性が出てきたのです」(大手都銀幹部)
前述したように公的資金を導入している大和銀行にとって、“無配転落”は悪夢以外のなにものでもない。
「金融庁は国が保有する優先株に配当がなされなかった場合には、『当該銀行に対して“業務改善命令”の発動も検討する』としているのです。
“国有化”はいささかオーバーだとしても、無配転落の場合には金融庁の完全な管理下に置かれることは間違いありません」(大手都銀幹部)
そうした状況に追い込まれかねない状態にあったとされる大和銀行にとって、持ち株会社化は最悪のシナリオを回避するための“ウルトラC”だった、と指摘する関係者も多い。
なぜ持ち株会社化が“ウルトラC”になり得るのだろうか。
それは以下のロジックによる。2001年の商法改正によって、これまで資本の欠損の補てんにしか使えなかった“法定準備金(資本準備金・利益準備金)”を取り崩し、配当可能利益に振り替えることが可能になったのである。
取り崩し可能額は、“資本金の4分の1を超える額”となっている。
「もっとも、銀行法の規定では、法定準備金の取り崩し可能額は“資本金を超える額”となっているのです。
大和銀行の場合、現状では資本金を超える形では法定準備金を保有していませんから、“銀行”の形態にとどまっている以上、この“取り崩し規定”は利用できないのです」(大手都銀幹部)
ところが、持ち株会社へ移行することで、銀行法の規定ではなく商法の規定を享受することが可能になる、とする指摘もある。
「だからこそ、大和銀行にとって持ち株会社へ移行するメリットは大、とされているのです」(前述同)
つまり“銀行持ち株会社”は銀行ではない、とする主張だ。
ところが、子銀行の株式しか資産を持たない“銀行持ち株会社”にとって配当原資を獲得するためには、以下の3つの選択肢しかないのが実情だ。
(1)子銀行の株式を売却し利益を得る
(2)子銀行から借り入れる
(3)子銀行から
株式配当を得る
「もっとも、(1)や(2)はいささか現実性に欠けるといえるだろう。
そうなると(3)しか選択肢はないということになる。
結局のところ銀行がどのように配当原資を捻出するか、というところにもどってしまう。
従って、配当原資をひねり出すために“持ち株会社”に移行するという発想自体がナンセンス。
多くのマスコミや銀行関係者はその辺のことを誤解している」(金融庁幹部)
果たして大和銀行はこの問題をどのようにクリアするのだろうか。