(記事)ドル一極集中に弱点

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投稿者 踊る藁人形 日時 2001 年 9 月 16 日 02:56:18:

 ウォール街に近い世界貿易センタービルが崩落した翌12日、東京の大手銀行に、金融庁を通じてニューヨーク連邦準備銀行の要請が伝えられた。
 「絶対に米国での営業を続けるように」
 この銀行のニューヨーク支店は専用回線がダウンしたため、東京−ニューヨーク間の取引の注文伝票をファクスでやりとりして店を開き続けた。
 ウォール街は世界を巡るマネーの流れの中心地だ。ニューヨーク証券取引所が戦後初の長期閉鎖に陥るなか、連銀は、地球を席巻する現行の市場経済システムを守り抜く強い意志を示した
 「テロは許せない。だが、イスラム原理主義が打撃を与えたのが、米国の市場原理主義だったことは象徴的だ」。テロで行方不明を出した邦銀の関係者は語る。

 90年代に入り、「世界経済の一極集中」が一気に加速した。インターネットに代表される「情報」とデリバティブなどのコンピューターを駆使した複雑な「金融」の複合体でもある。冷戦の終えんで、米国が軍事関連の技術とヒトとカネをつぎこんだ結果だ。米国が優位に立つ情報技術(IT)と金融取引が、世界経済の基本枠組みを形づくる。
 米国は世界一の借金(債務)国でありながら、ポンプ役として世界にドルを循環させた。00年に西欧と日本から米国に流れ込んだ直接投資と証券投資の総額は6千億ドルを超えた。これがIT産業の資金需要にこたえ、米国内の株価を急騰させ、消費意欲を高め、世界経済をけん引した。
 バブルの処理に追われた日本と、統合を優先させたEU(欧州連合)は輸出と投資で米国に依存した。先進各国が支える形で、米国流の市場経済が地球を覆う経済のグローバル化が進んだ。
 こうした世界経済システムは、IT化で瞬時の巨額の資金の移動が可能になり、1日の外為取引で1兆5千億ドルが動く。年間8兆3千億ドルの短期資金が97、98年の、アジアや南米などの新興・途上国市場の通貨や財政を危機に陥れた。
 「米国のドル支配への不満が途上国にはうっ積している。米国に変わるシステムもないため、米国への敵対感情が募っている」。ニューヨーク州立大学のウォーラーステイン教授は語る。繁栄に取り残された人々は、経済を優先する先進国への不満を強める。国際経済会議などに押し寄せる反グローバリズムの標的のひとつが、常に米国のマクドナルドなのと通じる指標だ。

 今回のテロから、反グローバリズムのうねりが透けて見えるのと同時に、米国一極集注の危うさも浮き彫りにした。
 ドル取引にリスクが少ないことが前提だった世界経済システムは、ニューヨーク市場のマヒという形でもろさをさらけ出した。すでに景気後退に直面していた米国経済の落ち込みとドル取引の収縮で、世界経済経済全体が下落する懸念が高まっている。
 経済取引の原則は、リスクの分散だが、世界経済システムはドルとリスクを
分散する通貨を持っていない。

 ドルを守り続けてきた国際通貨基金(IMF)は、世界のほとんどの国が参加する総会を9月末に予定するが、本拠地ワシントンでの開催を、戦後初めて断念せざるを得なくなりつつある。
 米国は威信回復のため、自国主導の国際経済システムの再構築に全力を挙げる。しかし、先進国経済が多極化し、途上国経済をうまく取り込んだシステムに移らない限り、危機が続く恐れは消えない。日本が「失われた10年」を空費している間に、世界経済は難問をつきつけられている。

(経済部・杉浦信之)  

[朝日9/15記事『世界震撼 米同時多発テロ(3)』]


★コメント
記事は全体として、超国家金融経済の原則論なるものを忠実に綴ったのでしょうけど、他人の文章とは思えないような気がしましたので、投稿しました。(^^)


> 「テロは許せない。だが、イスラム原理主義が打撃を与えたのが、
>米国の市場原理主義だったことは
>象徴的だ」。テロで行方不明を出した邦銀の関係者は語る。

#「市場原理主義」って言い方は、すっかり業界の市民権を得たらしいようですね〜。それほどまでにご承知でいて、それでもそんなアコギな商売に貢献する歯車人生に徹するしかないんですか〜? (ちと言い過ぎ…m(_ _)m)
昆虫のごとく完全変態に耽る決意までには至らないのでしょうか?


> ウォール街に近い世界貿易センタービルが崩落した翌12日、
>東京の大手銀行に、金融庁を通じてニューヨーク連邦準備銀行の
>要請が伝えられた。
>「絶対に米国での営業を続けるように」

#この法的根拠なき(たぶん?)命令への服従に要するコストは自腹ですか?
「営業してやる」のに、連銀にそのコストを請求できないんですか?
コストに見合わないのであれば、従う必要も一切ないリクツになるのではないか、それが市場原理主義の「健全な」あり方では?どんな状況下であろうと、採算に合わない行為は経営責任に背く事にはならないんですか?


>ドルを守り続けてきた国際通貨基金(IMF)は、世界のほとんどの国
>が参加する総会
を9月末に予定するが…

#「ドルを守り続けてきた」というのは良い表現だと思います。
IMFってのも『超国家中立非営利仲裁機関』なんかではなく、FRBと同様に、営利を目的とするはずの私設銀行でしょうに?(FRB保有の金塊も米国政府の所有財産ではないそうだし…)
【→日本の教科書ではこれらの「国際機関」について、著しい誤解を吹き込むための記述に見えたりする。教員の方々からしてほとんどご存知ないのでは?】
そういう意味で、アジアや南米や日本の通貨危機も、安泰なはずの世界基軸通貨米ドルに裏打ちされたビジネスチャンスの範疇に過ぎないのではないんですか?
…痛めつけられた国々の国家主権と、苦悩の労働の果実を「営業品目」とする…
その意味で、IMFにとって通貨危機はむしろ歓迎すべき出来事なんでしょうか?

で、どうしてその私設銀行群が国家主権に優越する超国家政府すなわち「米ドル=世界経済」の金庫番たる存在へと祀り上げられなければならないのでしょうね?
IMFは、国境を自由に超越する、抽象的・数学的投機ポンプを駆使した市場原理主義的賭博収奪行為に何ら実効ある制限措置を与えようとはしないくせに、日本経済に対して麻酔なき生体解剖処理を事実上強要する法的根拠はどこにあるのだろうか…??

(以下、長くなりすぎたので、そのうちまた改めてカキコします。)

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