投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 9 月 14 日 07:35:46:
米国を襲った同時多発テロで、ニューヨークの金融市場がストップした。世界を駆け回る投資資金の3分の2を扱うとも言われる「心臓部」の機能停止は、24時間取引態勢にある世界のマネー市場を激しくほんろうしている。消費や企業活動といった実体経済への影響も大きく、不全が長引けば今回の異常事態が世界同時不況の引き金になるという見方も出ている。
ニューヨーク証券取引所(NYSE)など主要市場は「遅くとも週明け17日には取引再開」を決定、内外に公表した。NYSE、ナスダック、アメリカン証券取引所などの主要市場がそろって3日連続で取引を停止するのは、第1次大戦がぼっ発した1914年以来の異常事態だ。
IT(情報技術)をおう歌した好調な経済と、右肩上がりで急伸した株式市場の魅力にひかれ、海外からの対米投資は00年に1兆ドルを超えた。欧州などからかき集めた資金の中から、1000億ドルを超す巨額の資金が日本など海外市場での証券投資に向かった。「不況と投資家の証券離れで、国内に買い手が不在」(大手証券)の東京市場を下支えしたのは、米国経由で流れ込む世界の投資資金だった。
市場が再開できても、その機能が完全に復旧するまでには、かなりの日時が必要と見られる。コンピューターや通信網などの損害も甚大とみられ、「金融センターであるニューヨークとシカゴ、ロンドンとの連絡も円滑でない状態」(米国株トレーダー)だ。機能が停止している期間が長引けば、それだけ世界の市場に与える打撃は拡大する。
また、金融新商品などの開発の先頭に立ってきた人的資源にも被害が及んでいた場合、世界の金融産業そのものが「まひ」しかねない懸念もある。大手証券会社や米国債の最大の取引会社などでも、大きな被害が出たとの情報が相次いでいる。しかし、まだ、その全体像すらはっきりしていない。
90年代から世界経済をけん引し続けた米国経済の活況は、株式市場の堅調さに支えられた部分が大きい。今回のトラブルによって、株価下落が加速すれば、米国の国内総生産(GDP)の3分の2を占める個人消費は激震し、景気は一気に減速する。さらには対米輸入に頼る日本やアジアの産業界にも強い逆風となる。
朝日ライフアセットマネジメントの高尾義一常務によれば、米国の成長率が1%減速すると「日本の対米輸出も約1%落ちる」。さらに「アジアの成長率も1.8%下がり、日本の輸出の4割を占めるアジア向け輸出も0.5%前後落ちる」という。米国のマネー市場がどれだけ早く再起動できるか−−世界経済は大きな正念場にある。
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