投稿者 倉田佳典 日時 2001 年 9 月 13 日 20:07:43:
09/13 18:40 「30社問題」切り込めず 消えない金融システム不 金融43
共同
「三十社問題ですか」―。小泉純一郎首相は金融関係者の説明を
聞き終えると腕組みをし、ぐっと宙を仰いだ。
「やはり司々(つかさつかさ)で、きちんとやっていただきまし
ょう」
小泉内閣で不良債権問題に関する「司」は、柳沢伯夫金融担当相
。首相自身の即断即決で、改革のメスが不良債権問題に切り込むこ
とを期待して゛ご進講″に及んだこの金融関係者は、落胆を禁じ得
なかった。
説明の内容は、こうだ。
株価が極端に低迷するなど市場の厳しい洗礼を受けている経営難
の大手流通企業や大手建設会社などは、約三十社。銀行は、これら
の問題企業向け融資の大半を、将来、不良債権化の恐れがある「要
注意先」に分類するにとどめているため、債権額の3―5%しか引
当金を積んでいない。備えがこれだけだと問題企業が破たんした場
合、銀行自体の経営不安を引き起こしかねない。
「銀行が問題三十社向けの引き当てを積み増すよう促す必要があ
る」というのが、金融関係者の指摘だ。
不良債権問題の抜本処理が進まなければ、日本の金融システムに
対する不安はぬぐい切れない。これが、実体経済の足かせとなり株
価にマイナスに働く。株安がさらに不良債権処理の余力を奪い、一
段の株安を生むという負の連鎖も鮮明になり始めた。
銀行はかつて、豊富な株式含み益を不良債権処理の原資に使って
きた。しかし平均株価が一万円を割った現時点では、すべての大手
行が含み損を抱えている。大和総研の試算では大手行の含み損の合
計は十二日時点で約五兆二千七百億円。不良債権処理の「打ち出の
小づち」だった株式が、今や自身に突きつけられた「刃」となって
いる。
九月中間決算から、時価会計が全面的に導入され、大手行の大半
は含み損の処理に追われるのは必至。「三十社問題」の処理に着手
できるほど懐に余裕がないのが多くの銀行の実情といえる。
株価一万円割れの直接的な引き金は、米中枢に対する同時テロだ
ったが、ここまで株価を押し下げてきた本当の理由は、バブル崩壊
から十年以上も不良債権問題を先送りしてきたこと。政府の最終決
断が求められている。
(了) 010913 1839
[2001-09-13-18:40]
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