投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 9 月 12 日 20:42:07:
米国で起きた同時多発テロが、米国に生産・販売拠点のある日本企業などに打撃を与え始めている。米国内で日本人社員が自宅待機を余儀なくされ、物流も停滞、さらに国際電話の接続が困難になるなど「人・モノ・情報」の動きがストップしつつあるためだ。米国での混乱が長引けば、日本の輸出の落ち込みなどで、低迷する日本経済に追い打ちをかけることも懸念される。
◆操業中止
トヨタ自動車やマツダ、いすゞ自動車は11日、一部の米国工場で操業を中止したり、生産のスピードを落とすなどの措置をとった。米ゼネラル・モーターズなど米国企業も同様という。部品を米国内や海外から調達しているが、事件直後から一部ハイウエーや空輸がストップし、部品が不足する恐れが出てきたためだ。国境封鎖の影響もあり「ある程度の部品在庫はあるが、不安はある」(トヨタ)という。
ブリヂストンも、日本からの輸出タイヤが、現地港の閉鎖で荷降ろし作業がストップした。
米国に22カ所の製造拠点を持つ松下電器産業は、生産中止はしないものの「航空規制が長期化すれば、製造ラインに影響が出るかもしれない」(広報部)と心配する。米国景気の減速に加え、物流の停滞が長引くようだと、生産縮小―売り上げダウンが避けられそうにない。
◆自宅待機・出張禁止
三菱電機や松下は、米国の従業員を自宅待機させ、当面、事件の推移を見守る。社員の安全確保のため、米国を中心に海外出張の禁止や自粛も相次ぎ、三菱電機や新日鉄、クラレ、ブリヂストン、三菱商事、三井物産などで急きょ決めた。三菱重工業は、欧州や南西アジアへの出張も自粛する。企業活動の停滞・縮小による生産性の低下が心配される。
◆つながらない
日米間の通信回線は、混雑を避けるため、つながりにくくなっており、電話や電子メールによる情報のやり取りは、いずれも困難を極めている。
KDDIは一時、通常の10〜20倍もの通話・通信があったため、回線のパンクを警戒、11日午後11時8分(日本時間)から12日終日にかけて、接続量を通常の半分に規制した。NTTコミュニケーションズや日本テレコムを使った場合も、通常の6割程度しかつながらない状態となった。
KDDIにはテロ発生後から「米国へつながらない」との苦情が多数寄せられたが、「米国内への通信が殺到し、どうしようもない」と、お手上げだ。
◆販売・輸出も減少?
高島屋はニューヨーク5番街に衣料、雑貨などを置くニューヨーク高島屋を出店している。世界貿易センタービルから離れているため、11日は午前10時に開店したが、混乱が広がったため、1時間後に臨時休業した。再開時期は未定という。
米国に年間約200万ケースのビールを輸出しているサッポロビールは「1日当たり数百ケースの販売ダウンは覚悟している」(広報部)。同社は主に大都市の日本料理店にビールを出荷しているが「ニューヨークでは当面、レストランの業務が停止され、他の大都市でもビルへの立ち入り制限が行われるという情報もある。レストランはかなり制限されるのではないか」と見る。
また、8月末に中型セダン「アルティマ」を米国で発売した日産自動車は、予定している広告宣伝を「時期的にふさわしくない」として自粛する見通し。オーディオ製品などを輸出する日本ビクターは「心理的にテロの影響が長引くかもしれない」と、クリスマス商戦の行方を不安視する。
◆風説が心配
だが一方で、冷静な見方もある。帝人の安居祥策社長は「1週間程度の混乱は避けられそうにないが、実体経済に対する影響は小さい。むしろ、必要以上に心配したり、風説で混乱することの方が気がかりだ」と語る。
[毎日新聞9月12日] ( 2001-09-12-19:29 )
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