投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 8 月 02 日 23:16:27:
日銀が、せっかく3月19日に決めた金融政策の新フレームワークを活用せず、逆に国債買い切りオペの対象を短期化している間に、デフレはさらに悪化してしまった。金融を十分に緩和しないため、世界中の経済学者から「クレイジー」と批判されている日銀を支持し、金融緩和を妨げている者は一体誰なのか。
第一に、銀行家である。銀行は、経済回復に必要な貸し出しを渋る一方で国債を大量購入しているため、これ以上の金融緩和により物価が上昇して国債価格が下落するのをおそれ、金融緩和に反対しているようだ。しかし、これは「天に唾する」行為だ。物価下落というデフレこそが、不良債権を増やして銀行経営を深刻にし、経済の回復を遅らせている元凶なのだから。
第二に、デフレは貨幣的現象であるという本質を理解せず、どのような金融政策が望ましいかを議論することなく、単に日銀と対立する政府を批判する一群のエコノミストや評論家たちがいる。これを助長しているのが、デフレに陥れた責任を棚に上げて金融政策の困難さを説く日銀官僚たちである。その結果、失敗すればするほど日銀は批判を免れるという倒錯が生じている。
第三に、一番責任が重いのが政府である。法律を変えて日銀を政府から独立させた以上、総裁、副総裁、政策審議委員といった政策委員会のメンバーの人選は重大であり、日銀官僚に依存せずに自分で正しい金融政策を決められる人物を政府は選ぶべきであった。しかるに、現実はそれからほど遠い状況にある。経済の実態を知らず、理性的に金融政策を考えられないような政策委員会は最悪である。
このまま日本経済を破滅させたくないのであれば、日銀法を早急に改正して、英国やカナダのように物価安定目標を日銀に課すべきであろう。 (知命)
[毎日新聞8月2日] ( 2001-08-02-23:06 )