投稿者 DC 日時 2001 年 9 月 10 日 01:13:02:
http://economist.mainichi.co.jp/e-kabu/eye/0813.html
貴金属の価値が見直される時とは
こうした前例にならって、いま
の米国で金本位制を復活させるならば、単純に考えて、金価格は時
価の15倍、4200ドル/オンスに上昇するはずである(マネーサプライ
M1の総額1.1兆ドル/公的金保有量261百万オンスから算出)。と
いうことは、物価も潜在的には十数倍に急騰する可能性があるという
ことになる。
http://economist.mainichi.co.jp/e-kabu/eye/0716.html
日本経済への処方箋
バブル崩壊後、10年も
経つというのに日本経済が正常化しない理由をズバリ言えば、運用
サイドの銀行貸し出しが大きく毀損しているのに対し、調達サイドの
預金を切り捨てることができないからだ。これは日本経済があの山
一證券と同じ病に罹っているということである。山一證券は特金の運
用失敗に対し、「飛ばし」を行ってまで顧客との利回り保証を遵守し
ようとしていたからだ。
このままでは、日本経済も山一證券と同じく、海外の格付け会社
から引導を渡されることになりかねない。それを防ぐには預金債務に
おける元本保証条項を反故にするしかない
http://economist.mainichi.co.jp/e-kabu/eye/0618.html
マーケットが危惧する中東情勢の先行き
その第一の兆候は、米国景気の減速にもかかわらず原油価格が
高止まりしていることである。
第二の兆候は、長らく低迷を続けてきた金が底打ちしたように見え
ることである
そして第三の兆候は、 FRBが緊急利下げを行った3月下旬以降、
米長期金利が反転上昇していることである
http://economist.mainichi.co.jp/e-kabu/eye/0521.html
「日中関係」は「日米関係」である
だが、より根本的には、ブッシュ米大統領自身、ハンチントン流の
「近い将来の文明間の衝突」が不可避であるとする歴史観を信奉し
ているのではないか。だからこそ主要閣僚を湾岸戦争時のスタッフ
で固めているとも思えるのである。
http://economist.mainichi.co.jp/e-kabu/eye/0423.html
幕末期の超インフレとは
さてここからが本論である。
90年のバブル崩壊を黒船到来と位置づけて幕末と現在とを対比さ
せるならば、(1)財政赤字が急拡大した、(2)(投資という形ではある
が)ジャパンマネーの海外流出が進んだ、(3)欧米企業、投資家の日
本進出が急増した、(4)オウム事件や犯罪の多発化に象徴されるよ
うに、従来は考えられなかったリスクが高まっている、という点で、幕
末と現在が似通っているような面もないではない。天変地異につい
ても、幕末ほどではないが、95年の阪神大震災や昨年の三宅島噴
火と続き、今年に入ってからは広島、静岡と地震が相次いだ挙げ句
に富士山も鳴動するなど、ぼんやりした不安が募る毎日である。
では今が「幕末」であるとして、次は一体どんな世の中になるという
のであろうか。「幕末」期の市民がそうであったように、筆者自身、全
くイメージがつかめないが、1860年代がそうであったように、単に日
本だけの問題ではなく、全世界的規模で大きなパラダイム変化が起
きているように思うのである。そして、その過程では様々な混乱が起
きるに違いないが、南北戦争のお陰で日本の独立性が維持された
ように、最近の米国株暴落や中東、アジアでの緊張激化が、案外と
日本国が浮上するきっかけとなるような気がしてならない。
http://economist.mainichi.co.jp/e-kabu/eye/0326.html
What`s nextその2…円債バブルの向こう側
つまり過去の2大超低金利局面は、それぞれ「国際金融危機」と
「戦争」によって終了したわけである。ならば今回の超低金利も、そ
のどちらかを契機に幕引きとなる可能性が高いのではないか。ここで
詳しく知りたいことは前者の事例である。後者の戦争が原因で金利
が上昇するのであれば、まだあきらめもつくが、国際金融危機ならば
手だてを講ずる余地があるからだ。そこで次項では、国際金融危機
が世界の金利に及ぼす影響を見るために、17世紀初頭よりもデータ
が豊富な1931年の国際金融危機=「金本位制停止」について振り
返ってみよう。
米国経済のアキレス腱は中南米にある。大手米銀の相対株価が
中南米の株価指数と連動していることはその証左である(図5)。そ
れだけに最近の株価暴落の影響が中南米経済を直撃するようなら
ば、経常赤字の埋め合わせを海外マネーに頼る米国自身に金融危
機が跳ね返ってくることは必至である。具体的には、米国金利の上
昇や株価の下落を通じてドルの動揺につながっていくわけで、これ
は1930年代の基軸通貨国、英国を危機に陥れた金の流出が、形を
変えて再現することを意味する。
ということは、現在の米国も70年前の英国と同様に、ドル防衛のた
めに金利を引き上げざるをえない状況に追い込まれることになるに違
いない。そして、こうした基軸通貨国の金利上昇が世界的な金利上
昇に直結することは今も昔も同じであり、日本の政策当局がいくら
「金利を上げる状況にはない」とがんばったところで、70年前と同様
に、基軸通貨国発の「意図せざる金利上昇」が伝播する事態は防ぎ
ようがないのである。
本稿では、いつかはやってくる日本国債金利の反転要因につい
て、一般的にイメージされている景気の好転ではなく、海外発の国
際金融危機に焦点を当ててみた。この他にも、天候不順によって穀
物価格が上昇する場合や、産油国の政変といった金利上昇要因が
考えられる
http://economist.mainichi.co.jp/e-kabu/eye/0226.html
What's next? 今後の米国経済を考える
来たるべき金融危機の姿
では一連の金融緩和にもかかわらず、米国の株安とドル安が止ま
らなくなった場合は一体どうなるのだろうか。筆者はその時、米国が
とる道は、(1)利上げ→究極の世界同時デフレ、(2)ドル濫発→世界
的なハイパーインフレ、のどちらかになると考えている。
まず(1)のデフレシナリオは、「経常赤字ファイナンスの問題を考え
ると、世界最大の債務国である米国が金融緩和を維持できるのは、
せいぜい半年から一年程度であって、その間に株価が回復しなけれ
ば、ドル防衛のために利上げに追い込まれる」というものである。世
界が深刻なデフレに陥っている時に、米国が利上げを行うはずがな
いと思われるかもしれない。だが94年のメキシコや97年の韓国やタ
イ、そして今年のトルコなど、金融危機にさらされた累積債務国が金
利を急騰させて外資の流出を防ぐことは、お決まりのパターンなので
ある。
ここで経済がまだ発展段階にある新興国と、基軸通貨国である米
国とを比較するのは間違っている、という反論もあるかもしれない。し
かし過去には基軸通貨国、英国が大恐慌まっただ中の1931年に、
ポンドを切り下げると同時に、利上げに踏み切った前例がある(金本
位制停止)。基軸国が利上げすることで世界にどのような影響を及ぼ
すか、当時の英国金融当局が知らなかったはずはないが、外貨準
備(金)が急減して日々の資金繰りが逼迫するなかで、基軸通貨ポ
ンドを防衛するためには背に腹を代えられなかったのである。そして
その結果、英国の利上げは瞬く間に全世界に波及し、恐慌を深化さ
せた元凶になっている(図2)。
ということは、同じことが今日の米国にも言えるわけで、もし株安と
ドル安が止まらなくなる場合には、米国といえども外貨の流出を防ぐ
ためには利上げに踏み切るしかないのである。そしてその結果、世
界経済がさらに悲惨な状況に追い込まれることも、70年前と同じ帰
結をたどるに違いない。
こうした過去の教訓から、デフレ下の金融危機→利上げが望ましく
ないというのであれば、米国はドルを増刷して資金繰り難をクリアす
るしかない。1930年代と違って現在は金本位制の縛りがないだけ
に、FRBさえその気になればドルはいくらでも印刷できるのである。
これが(2)のハイパーインフレシナリオである。
資産デフレにあえぐ債務者には、ハイパーインフレシナリオ待望論
があるかもしれない。だが、ここでいうインフレは、モノ不足を主因と
する70年代型のそれとは似て非なるものであり、インフレというより
は究極のデフレととらえるべきものなのである。なぜならば、購買力
の低下と供給過剰によってモノ余り=デフレが深化したあげく、最後
は通貨まで供給過剰となってしまうわけで、その結果、貨幣の交換
手段としての機能が失われて、不要不急の消費は限りなくゼロに近
づくことになるからだ。東大の岩井克人教授が喝破するように、「グロ
ーバル市場経済にとっての真の危機とは、金融危機でもなければ、
それに続く恐慌でもない。ハイパーインフレーションである。そしてグ
ローバル市場経済におけるハイパーインフレーションとは、基軸通貨
ドルの価値が暴落してしまう『ドル危機』のことである」(『二十一世紀
の資本主義論』岩井克人著:筑摩書房)ことを忘れてはならない。だ
が日本のデフレに対する処方箋として徹底的な量的緩和を要求して
きた米国が、自らの危機に際してプリンティング・マネー=ハイパーイ
ンフレの誘惑を断ち切ることができるとも思えないのである。
そして歴史は繰り返す
だがもしかすると、上記デフレ、インフレシナリオとは別の第3の選
択肢があるのかもしれない。それが有事のドル買いである。世界に
は中東やバルカン半島など火種はいくらでもある。宗教の違いなど
によって、それでなくても仲が悪い民族や国が多いというのに、経済
が悪化したら世界のあちこちで暴動や紛争が起きかねないのであ
る。こうした成りゆきを考えると、米国経済はいったんはピンチになっ
ても、その軍事的プレゼンスゆえに再び世界の資本を引きつけること
になるかもしれない。だがその場合は軍事費の増大→世界同時イン
フレとなることから、ドルの相対的価値を維持することはできるにして
も、絶対的価値は低落することになろう。
http://economist.mainichi.co.jp/e-kabu/eye/0129.html
60年サイクルの呪縛
西暦2000年代を見すえた筆者のワーストシナリオは、米国発の
恐慌が勃発し経済秩序が世界的規模で損なわれるや否や、民族間
が敵対する混乱の時代の再来である。詳しくは後述するが、1970
年代以降の銀価格が60年前とよく似た動きをしていることから、次
の10年は1940年代と同様の「名目GDP(国内総生産)が増大す
る時代」になると思うのである。平たく言えば、西暦2000年代はこ
れまでの野放図な金融政策の代償として、ドル安やハイパーインフ
レがもたらされ、そしてその結果としての民族間の紛争が頻発するこ
とを覚悟すべしということである。こうした発想の根底には「歴史は繰
り返す」という認識がある。筆者に言わせれば人間のやることは今も
昔も変わらないのであって、今なおイソップ物語が読まれていること
はその証左である。
http://economist.mainichi.co.jp/e-kabu/eye/1127.html
米資本の日本企業買収と日本株価の関連を読む
http://economist.mainichi.co.jp/e-kabu/eye/11.html
銀の価格サイクルが暗示する「次の10年」
グローバル市場経済にとっての真の危機とは、金融危機でもなけ
れば、それに続く恐慌でもない。ハイパーインフレーションである。そ
してグローバル市場経済におけるハイパーインフレーションとは、もち
ろん、基軸通貨ドルの価値が暴落してしまう「ドル危機」のことであ
る。このドル危機がグローバル市場経済のなかでおこるとしたら、そ
れは何らかの理由で、世界中のひとびとが基軸通貨として保有して
いるドルを過剰に感じることから出発するはずである。世界各地の外
国為替市場でドルがほかの通貨にたいして売られ、ドル価値の下落
が始まるのである(参考=『二十一世紀の資本主義論』岩井克人
著、筑摩書房)。
石油価格上昇が示す予兆
つまり、基軸通貨国であり世界最大の累積債務国でもある米国経
済が危機に瀕する場合には、一時的にはデフレになるにしても、そ
の後は世界同時インフレとなるリスクを秘めているわけである。194
0年代は戦争によって名目GDPが急増し、その結果、実体経済の
規模が金融経済の規模に追いついている。銀の価格推移が示唆す
るように、過去の経済パターンが60年の歳月を隔てて再現するとい
うのであれば、2000年代はドルの過剰発行や戦争によって世界の
名目GDPが急増することになるのかもしれない。だが、これは肥大
化した金融経済の自壊作用に他ならない。ではその場合に見直され
る資産は何かというと、まず第一に実物資産の代表的存在である金
であり、石油であるに違いない。それだけに最近の石油価格上昇と
NY株の失速は、もうすでに「次の10年」が始まっている兆しなのか
もしれない。
http://economist.mainichi.co.jp/e-kabu/eye/07.html
仕手株としての日本株を考える
ここで注目したいことは、外国人投資家が売り越し基調に転じた途
端に株価は急落するものの、実際に売却している金額はそれほどで
はないということである。例えば上記第W期から第X期の買い越し
がスタートするまでの期間(97年8月〜98年10月)は、山一證券
や長銀など大手金融機関の破綻が相次いだことから、株価は2万円
台から1万2000円台へと急落している。その頃に新聞紙上を賑わ
したフレーズは「海外からの日本売り」であったが、外国人投資家は
日本経済が「危機的局面」にあったはずなのに▲2・7兆円しか売り
越していないのである。これは90年11月から続く日本株ネット買い
越し額累計額の1割強でしかない。そしてその後に実施された銀行
に対する公的資金注入、ゼロ金利政策を見て、上記第X期の猛烈
な日本株買いを行っているのである。それに伴って株価は2万円台
に回復し、日本経済は危機を脱することが出来たというわけで、識者
の間では外国人投資家を意識した政策遂行を求める声が強い。
だが筆者に言わせれば、外国人投資家を意識した安易な株価対
策を行ったところで、外資による日本企業買いに手を貸しているだけ
のように思えてならない。仕手筋は狙った株式を買い占める過程で、
手持ちの株式をわざと売却して「ちょうちん筋」を振るい落とすという
が、上記5波にわたる購入パターンが示すように、外国人投資家の
投資手法は仕手筋と似通っている。となれば、彼らに株式買い占め
の意図があるかどうかが焦点となるが、世界的規模の企業買収(M
&A)が日常茶飯に行われるなかで、日本企業だけがその例外であ
るはずがない。しかも今年はM&Aを仕掛ける側にとってはチャンス
である。なぜならば、時価会計制度の導入によって、株価が下落す
ればするほど持ち合い解消や見切り売りが加速し、安価に株を集め
やすくなるからである。しかもM&Aに要する資金は円建てで起債す
れば、ほぼゼロ金利で調達できるというのだから、日本でも国際的な
M&Aブームが起きないほうがおかしいほどである。事実、こうした
動きを察知したオーナー系上場企業の間では動揺が広がっており、
今や上場廃止を検討する企業経営者も珍しくはないと聞く。
ここで誤解しないで頂きたいことは、筆者は外国人投資家によるM
&Aがいけないと言っているのではない。国際間の企業買収はお互
い様である以上、文句を言ってはいけないのである。それよりも問題
は、日本の政治が株価に右往左往してしまうことである。昨年の株
価は、外国人投資家によって買い煽られた仕手株相場であったに過
ぎない。それだけに前述の「振るい落とし」作戦によって、株価はもう
一度、98年秋の水準まで下落する可能性も否定は出来ない。だが
日本は世界最大の債権国であり、また同時に世界に冠たる技術大
国でもある以上、いつまでも株価が下がり続けることは有り得ないの
である。それゆえに政府・与党は目先の外国人動向に一喜一憂する
のではなく、中長期的な視野に立った国策を追求していくべきであ
り、そして国内投資家は将来を見据えた投資のタイミングを探るべき
なのである。
http://economist.mainichi.co.jp/e-kabu/eye/03.html
「強いユーロ」がもたらす世界経済の混乱
基軸通貨体制とは、どの通貨であれ、ひとつの通貨が基軸通貨の
地位を独占してはじめて安定するのである。複数の基軸通貨が競合
している状態とは、言葉の真の意味での不安定な状態であり、複数
の基軸通貨の勢力均衡などありえない。事実、歴史は、複数の基軸
通貨が競合していた時代がいかに不安定な時代であったかを教え
ている(参照 岩井克人著『二十一世紀の資本主義論』筑摩書房)。
米国の生殺与奪を握った欧州
だが後世の歴史家は米国の失敗を指弾し、欧州の英知と狡知を賞
賛するに違いない。なぜなら、欧州は、米国株を大量に保有すること
で米国経済の生殺与奪の権を握ったわけで、米国がユーロの台頭を
阻止しようにも、ECBが域内の投資家に米国株を売却するように仕
向けた場合には対処しようがないのである。
ここで問題は、「基軸通貨体制とは、どの通貨であれ、ひとつの通貨
が基軸通貨の地位を独占してはじめて安定する」(岩井教授)もので
ある以上、ドルに代わって基軸通貨となる実力を秘めたユーロの勃
興が、世界経済の不安定化を加速する恐れが大きいということであ
る。それでなくてもユーロには株価暴落やインフレといった金融危機
時に強い特性が備わっている。ユーロ参加11ヵ国の中央銀行が保
有する金の総量は1万2千トンであるのに対し、米国は8000トンで
しかないことが示すように、ユーロには金の裏付けがあるためである
(ちなみに日本は750トン程度でしかない)。そのために、ユーロと金
は連動しているほどなのだ(図2)。それでいてドルの発行総額はユ
ーロを上回っているのだから、いざというときにはペーパーマネーのド
ルではなく、ユーロが選好されることは明らかであろう。
これは来るべき金融危機時には、ドルベースの資産がこれまで以上
に下落するリスクを秘めていることを意味する。
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