投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 9 月 04 日 00:07:23:
東京市場の株価下落が止まらない。世界同時株安の不安が高まるなか、3日の日経平均株価は1万400円台にまで落ち込み、「1万円割れ」が現実味を帯びてきた。小泉純一郎政権の進める構造改革の遅れに、市場は警鐘を鳴らすが、政策の手詰まり感は色濃い。銀行経営への影響も懸念され、日本経済底割れの危機が高まっている。
「9月に株が上昇する確率は、(ニューヨークメッツの)新庄の打率並みだな」。3日の東京・兜町では、歯止めのきかない株価下落にあきらめムードが漂った。
バブル崩壊後の90年から昨年まで11年間で、9月末の株価が8月末を上回ったのは3回(27%)しかなく、12カ月を通して最低の数字だ。
世界恐慌の引き金となった29年のニューヨーク市場と、最近の東京市場の動きの類似を指摘する声が増えている。小泉首相を当時のフーバー米大統領の姿とダブらせ、「二人とも経済にはうとく、しかも純粋な点で共通する」と話す外国人投資家もいる。
株安が急速に進むのは、国内と米国の企業業績が悪化し、景気回復が後ずれする懸念が強まっただけでなく、構造改革に対する政府の取り組みの遅れも原因だ。「景気が悪い時は、政策期待に頼るしかない」(大手証券)状況だが、肝心の政策がスピーディーに打ち出されず、市場は失望の色を深めている。
8月29日の東京市場で、日経平均株価が1万1000円を割り込んだのは、柳沢伯夫・金融担当相が主要行の不良債権残高について「今後3年間は横ばい、7年後に半減」との試算を示した「柳沢ショック」がきっかけ。市場は「不良債権処理が後退した」と受け止め、銀行株が急落。相場の下げを主導した。
当初3年間に新たに約6兆円の不良債権が発生すると見込んだためだが、説明不足も手伝って、外国人投資家の間で「不良債権は3年で最終処理されるのではなかったのか」と政府への不信感が広がり、問題解決には時間がかかるというイメージを市場に植え付けた。
銀行への公的資金の再注入は不要と繰り返す政府や、問題企業の処理を先送りする銀行への不信感は根強い。佐藤政俊・みずほインベスターズ証券シニアストラテジストは「資産査定を厳格にし、資本不足になれば公的資金を再注入すべき」と主張する。また、「外圧しか解決の道はない」と、欧米訪問中の柳沢氏に対する欧米当局のプレッシャーを期待する向きもある。
小泉政権の構造改革路線を市場は歓迎し、5月7日、株価は今年の最高値を付けた。しかしその後、米国に端を発したIT不況に伴うハイテク企業の急速な業績悪化などで、東証株価指数(TOPIX)は26%も値下がりした。
証券税制見直しや規制緩和などどれをとってもスピード感がない。銀行や事業法人は持ち合い株解消のため大幅な売り越しを続け、唯一の買い手といえる外国人投資家も「小泉改革」の実行を疑い、様子見ムードをとり始めた。
日本株営業を担当するJPモルガン証券東京支店のチャールズ・ランバート氏は言う。「高速道路を次々につくった50年代の米国には建設会社が多かったが、今は大幅に減った。必要のない会社はなくなり、次の仕事を探すべきで、それが構造改革だ。その期待が持てないうちは、日本株が底入りしたとは言えない」 【江南護】
[毎日新聞9月3日] ( 2001-09-03-23:28 )
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