投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 9 月 03 日 13:23:44:
自民党の行政改革推進本部(太田誠一本部長)は二日、特殊法人改革の一環として関西国際空港株式会社の廃止に向けた検討を進める方針を決めた。現在の事業計画では累積赤字の解消まで二十年以上かかることを踏まえ、二本目の滑走路を整備する二期工事の中止も視野に入れている。また、廃止後については、空港島など既存施設を国有化し、施設整備・運用を民間委託するとの案が、同本部内で最有力なものとして浮上している。
太田氏は八月二十九日に小泉純一郎首相と会談した席上、「関空会社など空港整備特別会計の整理、合理化を見逃すことはできない」と強調。首相も理解を示した。
関空会社は一兆円を超す借入金を抱え、金利負担だけでも年間約四百十二億円にのぼっている。今年八月には二期工事の事業費を約三割圧縮することを決めたものの、同社の試算では累積赤字が解消されるのは平成十九年に予定される平行滑走路の供用開始から最長十八年間かかるという。だが、十七年には中部国際空港も開港、関西方面の航空需要が今後大幅に伸びるとは考えにくく、同社の試算通りに進むかどうかは不透明だ。
このため、政府の行革推進事務局は八月十日に発表した百六十三の特殊法人などの事業見直し案のなかに関空会社を入れ「現行の採算性の見通しには問題がある」と指摘。自民党行革本部でも「すでに事実上の破たん状況にあり、経営改善が見込めないなら二期工事自体を中止し、会社も廃止すべきだ」(幹部)との意見が強まっている。
党行革本部では、道路、空港だけでなく、すべての特別会計の再検討を行うことにしているが、特に関空会社については二期工事の中止による財政的な影響などを精査し、党としての改革案をまとめる方針だ。
一方、地元自治体などには、成田空港を運営する新東京国際空港公団と経営統合させることを模索する動きもある。
自民党の廃止検討方針に対し、関空会社は「民法上の営利法人という株式会社方式で出発しており、いわゆる特殊法人とは違う。改革を先取りしているといっていい」(広報課)と主張。所管官庁の国土交通省もすでに十四年度予算概算要求に二期工事の事業費として今年度比約6%増の千百三十七億円を盛り込んでいる。
関空会社の存廃問題は、航空政策全般の議論に発展することが避けられないだけに、年内に予定されている特殊法人の「整理合理化計画」策定に向け、改革の大きな焦点の一つとなりそうだ。
【関西国際空港株式会社】
関西国際空港の建設、運営を行うために昭和五十九年に国、地方自治体、民間企業の共同出資で設立された特殊法人。空港は平成六年九月、日本初の二十四時間運用可能な国際空港として開港。十一年からは二本目の滑走路を整備する二期工事を進めているが、十三年三月期で累積赤字が千七百二十九億円に達するなど、厳しい経営状態が続いている。
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