投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 9 月 01 日 21:21:12:
金融庁は、主要15行の不良債権残高を07年度までに今の水準から半減させる目標を打ち出した。しかし、03年度までの残高はほぼ横ばいで、市場には失望も広がり株価の下落に拍車をかける形になっている。解決の糸口は見えるのだろうか。 【木村旬】
Q 最終処理で不良債権がなくなる?
A 最終処理は銀行の帳簿から不良債権を消し去る作業だ。ただ、最終処理の対象は、債務超過企業など破たん懸念先以下の不良債権。今回の目標は、破たん懸念先ほど業績が悪くない企業に対する融資も含んだ不良債権全体のことだ。
Q 全体を半減?
A そう。01年3月期の15行の不良債権全体は17・4兆円。うち破たん懸念先以下の11・7兆円を2〜3年内に最終処理するというのが政府の方針。一方、小泉改革の「集中調整期間」で成長率が低い01〜03年度に新規発生する不良債権は年6兆円台だが、このうちの破たん懸念先以下は3年以内に最終処理する。04〜07年度は景気回復で新規発生も年2兆円台に下がると見込んでいるため、07年度に全体の残高が7〜10兆円に減る――というシナリオだ。
Q 新規発生を含めた残高が目標なんだ。
A 従来は「懸命に処理しても、次々と新規発生して残高は減らない」というパターンを繰り返してきた。今回、「残高を政策目標にしてかじ取りする」(柳沢伯夫金融担当相)と表明したのは、日本経済の“病巣”である不良債権問題の根を絶つという意思を示したもので、評価はできるのではないか。
Q でも、2〜3年で最終処理と聞いていた。「03年度まで残高は横ばい」では肩透かしだ。
A 28日の経済財政諮問会議でも本間正明阪大教授らが不満をもらした。横ばいなのは、景気が低迷し、処理した分とほぼ同額の新規発生が見込まれるからだ。柳沢金融相は処理には限界があることを認める。少なくても03年度までは不良債権が重荷となることがわかっただけに、市場に失望が広がったわけだ。
Q 「07年度に半減」では遅いのでは?
A 金融庁は「04年度の残高は12〜13兆円で、全貸出額に占める比率も3%台後半になるため、解決のめどが立つ」と説明するが、カギを握るのは新規発生だ。景気が一段と悪化したり、回復が遅れると新規発生が膨らむ恐れがある。解決は結局、小泉改革の成否にかかっている。
金融庁が示した不良債権処理のシナリオ
不良債権残高 不良債権比率
01年3月期 17・4兆円 5・72%
01年度〜 ほぼ横ばい 5%台
03年度
04年度〜 しだいに減少 しだいに下が
07年度 し、07年度 り、07年度
に7〜10兆円 に2〜3%
※対象は主要15行。不良債権比率は全貸出額に占める不良債権残高の割合。
[毎日新聞9月1日] ( 2001-09-01-18:55 )
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