投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 9 月 01 日 11:51:52:
以下の報道がありましたので、ご参考までに、お送り致します。
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ついに1万1000円を割り込んだ東京市場の平均株価が、銀行経営を直撃している。
大手行の保有株式含み損が3月末の10倍近い2兆9000億円に拡大したとの試算もある中、不良債権処理の原資が枯渇すると銀行は保有株のさらなる「投げ売り」を迫られ、株安に拍車をかけるという悪循環。
このままでは、株価1万円割れを引き起こし、企業の大型倒産、銀行への公的資金再注入という最悪のシナリオも現実のものとなってしまう。
「柳沢ショック」が市場をゆるがせた。
29日の株価低迷は、大幅に業績を悪化させたハイテク企業とともに大手銀行株が売り込まれたことが主要な要因となった。
というのも、柳沢伯夫・金融担当相が、銀行の不良債権残高が3年間横ばいの後、7年間で半減するとの試算を発表したのだが、「2、3年で徹底処理するはずではないのか。そんなに時間がかかるのか」(外資系証券アナリスト)、はたまた「それだけ時間をかけても本当に実現できるのか」(シンクタンクアナリスト)と、市場から総スカンをくったのだ。
厳密には、2、3年で処理するのは「破たん懸念先」債権で、7年間で半減させるのは要管理債権を含む不良債権残高と、対象が異なるのだが、「投資家にとっては、先延ばしとしか読み取れない。新規の不良債権が発生するというのもショックだった」(同)。
1万1000円割れを受けて、銀行の株式含み損のさまざまな分析が報じられているが、外資系証券の試算によると、平均株価1万1000円の水準で、大手行に発生する株式含み損は、3月末の約3000億円から、2兆9000億円に拡大したとしている。
また、大和総研の分析でも29日時点で、13行の含み損合計が1兆8800億円で、3月末時点から7倍近く拡大したと推定している。
一方、内閣府は、東証株価指数(TOPIX)が10%下落すると、大手14行の含み損が2兆円に拡大すると試算している。
含み益が大量に発生すると何が起きるのか。
3月決算でも騒がれたように、一向に減らない不良債権処理の原資が枯渇するのはもちろんだが、今回はさらなる難題が待ち構えている。
それが9月中間決算から導入される有価証券の時価会計制度だ。
新制度では、保有株の株価が簿価の5割以上、下落すると、強制的に償却しなければならない。
さらに、株式含み損の6割については配当に使う剰余金から差し引かれてしまうのだ。
このまま株価の低迷が続けば、公的資金の注入を受けている銀行にとっては、優先株の配当原資を捻出したうえで、不良債権処理を行うことはきわめて困難となるが、もし無配となると、優先株に議決権が発生し、事実上の「国有銀行」に転落する恐れが出てくるため、「公的資金再注入」の必要性を訴える声さえ出てきているのだ。
こうした中、みずほフィナンシャルグループやUFJは、銀行を再編する際に帳簿上、発生する分割差益を不良債権処理に充てる方針とするなど、各行は対応に必死だが、さらに困難な課題もある。
金融庁が検討している銀行の株式保有制限が実現すれば、3年後の平成16年9月までに大手15行が10兆円もの持ち合い株を売却しなければならないのだ。
現在の株価急落で持ち合い解消売りをしようにも「売るに売れない」というのが銀行の現状だが、こうした状況では、体力のない銀行は、損を覚悟で「投げ売り」せざるをえない。
これが株価をさらに下げて、ますます銀行の含み損が拡大するという負のスパイラルが加速する一方だ。
逆に、株価が復活すればすべてが解決するのだが、「買い材料がほとんどない」(中堅証券)状態で、頼みの米国株も底打ちの気配はない。そして肝心のわが国の構造改革は、掛け声ばかりで具体性がなく、袋小路
にはまりつつある。
持ち合い解消株の受け皿として検討されている株式取得機構の実現性もその効果も不透明で、底打ちする材料はどこにもないのだ。
流通やゼネコンなど巨額の有利子負債を抱える取引先企業の“処理”も含めて、きわめて厳しい局面が続く。
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