欧州で「ホームレス体験ツアー」が議論の的に〔31日・ロンドン・CNNJAPAN〕

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投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 8 月 31 日 18:26:11:


人権団体などはツアーを企画した会社を厳しく非難している

寝袋と楽器またはスケッチブック、それに帰りのチケットだけを持って、パリやロンドンの路上でホームレスの生活を体験してみませんか――。オランダの旅行会社がこんな企画を打ち出して、議論を呼んでいる。ホームレス問題を扱う当局や慈善団体などからは、「危険だ」「悪趣味」などとする批判の声が上がり始めた。
ホームレス体験のツアーを企画したのは、オランダ北部のエームスハーフェンに本社を持つ「カムストラ・トラベル」。430ドルの費用で3日間、一文無しの路上生活が体験できるという。対象となる都市はほかに、ブリュッセル、プラハ、アムステルダムなど。少人数のグループごとにガイドが付き、参加者は楽器演奏やスケッチをして通行人から寄付を請いながら生活する。4日目の夜になってようやく食事とベッドが与えられるというプログラムだが、途中で挫折した参加者は、いつでもホテルに駆け込むことができるという。
同社のガンセンス社長は、学生だった12年前、パリで路上生活を送ったことがあるという。体験ツアーを「クリエーティブな冒険」と呼び、ビジネスマンが強さや社会性を身につけるのに役立つと強調する。第一弾の参加者は、来年3月にパリへ向かう予定だという。
しかし、この企画を知った関係者らは、一様に懸念の表情を示している。英国のホームレス対策当局の報道担当者はCNNの取材に対し、「路上は危険で不快な場所。そんな所で体験ツアーを企画するのは無神経だ。旅行社に手紙を書いて、路上生活をしている人々はほかの人より15倍も襲撃されやすいという統計を知らせるつもり」と語る。英国では当局の対策によって、1998年には1850人に上っていた路上生活者が700人まで減少したという。
英国で路上生活者への慈善事業を続けている団体「シェルター」のメンバーはCNNに対し、「ホームレスの人々をばかにするような行為には賛成できない。この会社は商売にホームレスを利用しているだけ」と話している。また、英国の別の団体「センターポイント」の責任者は、「こんなツアーを計画する会社は、ホームレスの若者たちの苦労を軽く見過ぎている」と批判する。
さらに、ロンドン警察の報道担当者は、このツアーについて「良く言っても悪趣味。厳しく言えば、深刻な事態を招きかねない」とした上で、「ホームレスを装ってロンドン市民の好意を利用するような行動には、厳しい措置を取る」と語っている。
一方ガンセンス社長は、「路上での生活を想像するのと、実際に体験するのとでは大違い。わが社の企画が非道徳的だとする意見には賛成できない。われわれは、ホームレス問題を解決するために協力していきたいと考えている」と話し、あくまでもツアーを実行する構えを貫いている。

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