投稿者 倉田佳典 日時 2001 年 8 月 30 日 18:02:29:
08/30 17:04 対応誤れば危機連鎖も 米、IMFは本格支援へ 外経51
共同
巨額の対外債務を抱え、デフォルト(債務不履行)が懸念される
アルゼンチンの金融危機が大きな国際問題としてクローズアップさ
れてきた。
米国経済の減速と景気回復の遅れを受け世界同時不況が現実味を
増す中、対応を誤れば危機が世界的に連鎖しかねない。米政府と国
際通貨基金(IMF)は、本格的な追加支援方針を表明、中南米地
域と世界経済の安定を図る姿勢を一段と明確にした。
米政府は当初「安易な支援は、被支援国の回復を遅らせることに
なる」と追加支援に慎重だった。しかし南北米州地域の経済統合を
目指す米州自由貿易地域(FTAA)構想推進の一環として米国の
利益を追求、支援を本格化させる姿勢に転換した。
エバンズ米商務長官は二十九日の会見でアルゼンチン支援に絡ん
で「(米州全体が)米国にとって重要。FTAAはブッシュ政権の
最優先課題だ」と述べ、支援が戦略的であることを示唆した。
七月にイタリアで開かれた主要国首脳会議(ジェノバ・サミット
)も、アルゼンチンとトルコについて経済改革の一層の推進を求め
る声明を発表、両国が世界経済の波乱要因であることを印象付けた
。
二○○○年末のアルゼンチンの債務総額は千二百八十億ドル(約
十五兆三千億円)に達し、国内総生産(GDP)の四割を上回る水
準。一九九九年には、ブラジルが通貨を切り下げ変動相場制に移行
した影響で輸出の不振に拍車が掛かり、対外収支が悪化。昨年秋か
らはデフォルト説が取りざたされた。
市場は、九八年に起きたロシアやブラジルなど新興市場国の金融
危機の二の舞いとなることを懸念。今月二十一日には、IMFが対
アルゼンチン向け融資枠百四十億ドルに、八十億ドルを増額する追
加支援策を米政府が了承、当初の慎重姿勢を変化させている。
ただ「IMFが示した以上の支援が必要」との観測もあり、財政
赤字の削減など経済改革の断行が、最も効果的な信頼回復策との見
方は変わっていない。(ワシントン共同=高橋昭)
(了) 010830 1704
[2001-08-30-17:04]
08/30 17:03 国債暴落、外貨準備も急減 頼みはカバロ氏の改革策 外経52
共同
国債のリスクは、ナイジェリアの次に高く、エクアドル、トルコ
やブラジル、ロシアよりも危ない―。債務不履行の懸念が高まり、
市場の信頼感が一気に低下しているアルゼンチンの国債は暴落した
ままだ。
国債は投機筋の標的となり金利は依然、高水準。米国債の金利と
の格差は一時17%近くに達し、今も14%前後だ。外貨準備は約
二百億ドル(約二兆四千億円)に急減、三年続きの不況で失業率は
16%に達した。
こうした中でデラルア大統領は、一ドル=一ペソの固定制を十年
前に導入しインフレを沈静化したドミンゴ・カバロ氏を、最後の゛
切り札″として経済財政相に再登用した。しかしカバロ氏は「奇跡
はない。歳出を削り、税収を増やし、脱税と戦うだけだ」と強調す
る。
政府は「財政赤字ゼロ」の法案を国会で通し、公務員の給与や年
金の一律削減に踏み切り、州政府にも追随を求めている。また州議
会の合理化など改革案を国民投票にかけるとしている。
しかし抗議のゼネストやデモが続いており、州政府の不満も根強
い。労働総同盟は二十九日にも大規模デモを組織し「上院選挙(十
月十四日)で政策撤回を迫ろう」と呼び掛けた。
デラルア政権には次の手はなく、カバロ退陣となれば、市場は再
び暴走するとの懸念は強い。(リオデジャネイロ共同=福見守弘)
(了) 010830 1703
[2001-08-30-17:03]