この銀行・ゼネコン・流通・生保は本当に大丈夫か(週刊現代オンライン)

 ★阿修羅♪

[ フォローアップ ] [ フォローアップを投稿 ] [ ★阿修羅♪ 国家破産 ]

投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 8 月 30 日 13:02:18:

大特集「暗黒の9月」がやってくる「最終処理」全情報
あさひ銀行・大和銀行・中央三井信託・フジタ・青木建設・佐藤工業・ダイエー・マイカル・三井生命・朝日生命
この銀行・ゼネコン・流通・生保は本当に大丈夫か

●株価1万円割れで最終処理へ

日経平均株価が、バブル後最安値を更新し続けている。
8月23日にはついに1万1200円を割り込み、1万1126円92銭まで下がった。1万1000円割れは目前で、1万円の大底が抜ける可能性も次第に高まっている。
9月危機――。この言葉は、すでに“きたるべき現実”として、市場関係者の間で公然と語られ始めている。
この株価急落で大打撃を受けるのは、数十兆円の株を保有する金融機関である。
大和総合研究所経済調査部長・岡野進氏は言う。
「日経平均が1万2000円を割ったら、ほとんどの銀行で含み損が出るはず。だから、いまはどの銀行も含み損が大幅に増えているでしょう」
こんな状況だから、市場はすでに「株価1万円割れ」を織り込み済みのようだ。国際証券チーフストラテジスト・平川昇二氏はこう語る。
「ほとんどの分野で業績が低迷している上、来年は緊縮予算。地価も下落を続け、株価がよくなる要素はまったくありません。竹中平蔵経済財政担当相が、日銀にプレッシャーをかけて金融緩和策を実施させたが、何の効果もなかった。むしろ円高を誘発し、デフレを拡大させただけでした。景気対策を何もしないまま構造改革を進めると、1万円割れは確実でしょう」
銀行は不良債権処理に懸命だが、地価が下げ止まらないので、いくら処理しても不良債権が減らない。それどころか銀行の不良債権は、年間2〜3割ほど増え続けている。
しかも、「金融機関は今後3年間で、少なくとも11兆円の株を売り越すことになる」(前出・平川氏)というから、株価が回復するはずがない。
国際金融アナリスト・水野隆徳氏は言う。
「竹中経財相が立案した『骨太の経済運営方針』では、銀行の不良債権処理は2〜3年で終わることになっていますが、信じられません。10年に及ぶ大仕事になるかもしれず、その間ずっと暗黒のデフレが続く可能性もある」
9月、日経平均が1万円を割れば、銀行は不良債権処理を先送りできなくなる――というのが多くの専門家の一致した見方。そうなれば、柳沢伯夫金融担当相が力説してきた「最終処理」に踏み切らざるをえない。倒産ラッシュが起こり、水野氏の言う「暗黒の10年」が幕を開ける。
それでは、危機に陥る可能性が高い分野や企業は、どこになるのか。経済アナリストの森永卓郎氏は言う。
「政府も、構造改革を断行すると言った以上、悪い企業をどこか潰さないと引っ込みがつかない。不良債権御三家と呼ばれるゼネコン、流通、不動産から、それぞれ少なくとも1社ずつ“生け贄”が出ることになると思います」

●銀行―国有化の可能性

銀行の胸先三寸で存亡が決まる“御三家”も苦しいが、銀行自体も危ないと見る人もいる。帝国データバンク情報部長・熊谷勝行氏は説明する。
「この9月決算から導入される時価会計では、銀行は、保有株の含み損の60%を剰余金から差し引かなければならない。剰余金は配当の原資になるものですから、株価が下がって含み損が増えると、配当できないケースも出てくる。
優先株を発行して国から公的資金を受けた銀行は、配当できなければ、優先株を普通株に転換しなければならない。国が普通株を持つ“国有化銀行”になるんです」
そのいい例が、「優先株が無配になる」と8月2日に発表した足利銀行。熊谷氏によると、株価が1万1000円を割れば、同じ運命をたどる銀行がいくつも現れるし、1万円割れの場合は、4大メガバンクも国有化される可能性が出てくるという。
大手行で最初に苦しくなるのはどこなのか。明治大学政経学部・高木勝教授は言う。
「自己資本の内容を見ても、財務内容を見ても、あさひ、大和、中央三井信託の3行は、他の大手金融機関と比べてかなり悪いですね。体力が低下しているので、今後の株価によっては、本体がいかれて(破綻して)しまう可能性もある」
8月6日、格付け会社フィッチは、あさひの財務格付けをD(収益性や将来性に問題がある)から、DとE(重大な問題を抱え外部の支援を要する)の中間のD/Eに下げた。中央三井信託は、D/EからEに下げられた。大和は以前からEのままだった。
また、これら3行は、来年3月期の不良債権の処理損失を、それぞれ上積みすることを、最近決めている。あさひは800億円処理するところを約1000億円に、中央三井信託は700億円を約1100億円に、大和は480億円を700億円前後にそれぞれ増やすという。この先どこまで不良債権が膨らむのか見えない中で、これが経営を圧迫していくのは間違いない。
もちろん、3行とも必死で生き残りを模索している。
「今期の中間配当は難しいと思われるあさひですが、実は三菱東京グループとの合併を狙って、接近している形跡があります。リテールに弱い三菱東京に、住宅ローンなどに強いあさひが売り込んでいるらしい」(全国紙経済部記者)
8月初めに、持ち株会社設立を発表した大和銀行も、野村証券との合併を狙っているという説がある。「野村にしても、かねてから望んでいた総合金融企業になれるわけですから、可能性は十分」(経済評論家・奥村宏氏)だという。
「中央三井信託は、9月中間決算が悪く、来年3月末の決算時には配当できない可能性が出てきています。国有化されるかもしれません」(経済ジャーナリスト・斎藤裕氏)
3行はそれぞれ次のようなコメントを寄せた。
「8月に出した『経営の健全化のための計画』にそって、経営の立て直し、業績の改善、不良債権処理など、いずれも順調に進んでいます」(あさひ銀行・広報IR部)
「過去2年間で大幅に収益が拡大しています。さらに、持ち株会社を設立し、収益の拡大を計ります。不良債権も前倒しで処理して、いっそうの財務健全化を図ります。今後、収益力の強化、合理化によって、収益は大幅に伸びると思います」(大和銀行・広報室)
「健全化計画をかなり上回るスピードとボリュームで、リストラを進めています。私どもの収益力は日本の信託銀行中トップで、今後も収益を確実に積み上げていけると確信しています。これまでの取り組みを着実に実行すれば、おのずと不良債権も減る。まったく心配していません」(中央三井信託・業務部広報室)

●社長が「とても厳しい状況」と
●流通―巨額の有利子負債

“不良債権御三家”の一つが流通業界。とくにここ数ヵ月、ダイエーとマイカルについては、何度も経営危機説が報じられてきた。
ダイエーの有利子負債は、実に2兆円以上。仮に'02年度目標としている利払い後の経常利益200億円をベースに単純計算すると、完済には100年もかかることになる。冗談のような数字だ。
子会社のプランタン銀座を70億円で売却したり、ローソン株の海外市場での売却を決定したりと、有利子負債の圧縮に努めているが、焼け石に水。
メインバンク4行(三和、三井住友、富士、東海)は、それぞれ4000億円ずつ融資しているが、「これ以上支援を続けることに難色を示し始めた銀行もある」(全国紙経済部デスク)という。大手シンクタンク役員がこう語る。
「ダイエーには、直接納入している中小、零細メーカーが多く、仕入れ先は数千社にのぼる。倒産すれば被害は広大な範囲に及び、社会的混乱を招く恐れがある。そうなると非難が銀行に向くので、しぶしぶ“つなぎ融資”しているという面もあります」
 ダイエーに明日はあるのか。本誌記者の直撃に、高木邦夫社長はこう答えた。
「わが社は、まず第一に、営業の数字の低迷の回復を具体的にどうするかを考えています。そのために、お客さまの要望を取り入れて、売り上げがアップする方向に持っていこうと努力しています。銀行の協力と理解もあり、予定どおり再生へ向かっています。
どの会社も、経営は厳しい。日経平均が1万2000円を割ったのも、小泉首相の構造改革が具体的に表に出てこないことが原因だと思います」
一方のマイカルは、有利子負債1兆円あまり。店舗や、マイカルカードやピープル(現コナミスポーツ)といった子会社を売却して負債圧縮をめざしてはいるものの、やはり難航中。8月半ば、メインバンクの第一勧銀が、500億円の追加融資を決定した。
「生き残るのが難しいと思っていたマイカルに追加支援と聞いて、驚きました。まず現金化できるものを現金化し、不採算部門の店舗を次々に閉店させて売却。売るものがなくなったら支援を打ち切り倒産させる――というシナリオを一勧は考えているのではないか。長崎屋を倒産させたときと似たパターンです」(経営評論家・黒田禄郎氏)
しかし、追い貸しが決まったのに、マイカルの仕入れ先はシビアだ。これまで支払いは納入の3ヵ月後でよかったのに、最近では1ヵ月後に求めてくるなど、厳しい条件を突きつけている。マイカルの四方修社長を直撃取材した。
「たしかに、とても厳しい状況です。昨年に比べると低迷していますから……。何とか持ちこたえなければあかんと思っていますけど、厳しい。
第一勧銀から追加融資を受けたおカネも、私たち大手には、きちんとまわってくるからいい。しかし、私たちがいつも仕事をしている末端の小さな企業まで、おカネがまわって助けてくれるのかは、わからない。不安だし、しんどいです。資産をためて対処する余裕も、いまはありません。
小泉さんの構造改革には、私は期待していません。参院選にも行きませんでした」

●倒産候補は「債権放棄」企業
●ゼネコン―また債権放棄

では、ゼネコン業界はどうなのか。経済ジャーナリストの須田慎一郎氏は言う。
「鹿島、清水、大成、大林組以外は、どこが破綻してもおかしくない。それ以下のゼネコンは、銀行が、酸素マスクや点滴をつけて支えているだけで、政府は見捨てています」
金融情報を提供するフィスコの株式担当アナリスト・佐藤勝己氏の見方はこうだ。
「小泉内閣が、構造改革と不良債権処理を進めていると国民にアピールするには、ゼネコンを潰すのが一番。9月以降、ゼネコンが2〜3社潰れることになると見ています。これまで銀行が債権放棄している会社が有力候補ですね」
ちなみに、これまで銀行の債権放棄を受けている“倒産候補”ゼネコンは、飛島建設、熊谷組、長谷工コーポレーション、青木建設、三井建設、フジタ、佐藤工業、ハザマ……といったところ。債権放棄額については、上の表をご覧いただきたい。
「ゼネコンはどこも楽ではないでしょうが、このところ、フジタ、青木建設、佐藤工業などの各社が、経営状況の厳しい会社として取り沙汰されることが多い。3社とも、有利子負債がなかなか減りません」(経済ジャーナリスト)
'00年度、有利子負債の額でフジタは約8300億円と、ゼネコン中1位の数字。前年比でわずか2.6%しか減っていない。青木建設は8位で、有利子負債約4050億円、減るどころか2.3%も増えていた。10位の佐藤工業は約3100億円で、前の年より6.1%減ったのみ。
他に、10%も20%も減らしたゼネコンも少なくないなかで、これら3社は再び債権放棄を受けないと、いつまでも負債は消えないのではないか。
「青木建設など、連結決算の自己資本比率が債務超過に陥っています。通常なら、もはや生き残れない状態です。青木は、興銀とあさひ銀行の“綱引き”の中で20年計画の再建策を作り、債権放棄を受けました。が、とても20年後まで青木建設が残るとは思えない。銀行は何を考えているのか」(前出・黒田氏)
名前の挙がったゼネコン3社に聞いた。
「会社再建に向けての中期経営改善計画は順調に推移していますし、業績見通しも年初の予想どおり達成する見込みですから、会社の経営は大丈夫です」(フジタ・広報室)
「当社は前期決算において予想を上回る利益をあげており、とくに経常利益は、計画スタート後の2年間で、計画数値を25%上回る実績をあげております。また、売上総利益率も高水準を維持しております。(経営が厳しいと)当社が取り上げられること自体、不本意です」(青木建設・広報部)
「'01年3月期までは、計画以上に遂行しており、借入金については107億円、保証債務については163億円の前倒しとなっております。今後についても計画通りの見通しです。また、中間決算については現在とりまとめ中でありますが、ほぼ5月29日の決算発表通りを見込んでいます」(佐藤工業・広報部門)

●失業率が20%になる可能性も
●生保―格付け引き下げ

資産運用実績が予定利率を下回る「逆ざや」による財務内容の悪化でピンチに立っているのが生保だ。
なかでも最近注目を集めたのが、三井生命と朝日生命。両社は8月6日、格付け会社ムーディーズに格付けを下げられた。ともに「投資適格」の最下位であるBaa3だったが、三井は1ランク下のBa1、朝日は2ランク下のBa2に引き下げられた。両社とも「投機的」段階だ。
「三井生命や朝日生命は、今後シビアな状況になり、(受け取る保険金が大幅に減ったり、月々の掛け金が上がる)予定利率引き下げが、現実に浮上する可能性があります」(経済ジャーナリスト・荻原博子氏)
保険金の支払い能力の指標であるソルベンシーマージン比率を見ると、三井は492.7%、朝日は543.4%。大手他社より低めの数字だ(上の表参照)。
『生保のカラクリ』の著者で経済評論家の伊藤雄一郎氏も、この2生保についてこう語る。
「三井も朝日も、格付けが下げられて、最近ますます財務状況が悪くなっていることは間違いないでしょう。
三井は株価下落のせいで資産運用が相当厳しくなっています。その結果、逆ざやが拡大し、財務内容を圧迫しています。朝日は、持っていた株や土地を売り払って何とか凌いできたが、もうそれも難しくなった。'04年に株式会社に転換して、東京海上火災と経営統合すると言っているが、はたしてそこまで経営がもつかどうか、心配です」
両生保に聞いた。
「決していいとは言えませんが、悲観はしていません。営業面では8〜9月の持ち上がりが期待できるし、7月にはグループ企業から350億円の基金を調達し、ソルベンシーマージン比率も向上しています。3年間の経営改善計画を着実に進めており、それらは表面の数字に現れないだけで、何ら問題ありません」(三井生命・調査広報グループ)
「4月から売り出した保険王という商品が予想外に好調で、契約高は予定より30%増が見込まれます。ムーディーズの格下げは、株価状況からの判断で、契約高の伸びを勘案していない。極めて遺憾です」(朝日生命・広報部)
9月危機が囁かれる中、小泉内閣の構造改革を控えて、日本の銀行、ゼネコン、流通、生保は大揺れだ。政府が発表するような、10万人や20万人の失業者ではとても済まない。100万人を超える大失業時代がやってくるのだ。
日本総合研究所主席研究員・新美一正氏は予言する。
「これまで“勝ち組”だった人々が失業し、失業率が20%になるかもしれない。毎月、数%ずつ物価が下がるデフレになることも考えられる。しかし、小泉首相が批判をかわすために特殊法人を潰したら、国民は内閣をさらに支持するでしょう。それで、ますます企業倒産は進みます」
再生か崩壊か。この秋、日本は重大な岐路に立たされる。




フォローアップ:



  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。