投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 8 月 29 日 20:46:25:
「8月の下落局面を経て、相当株価に割安感が出てきた。リストラの進ちょくも期待できることから、投資判断を“買い”に引き上げる」―。8月下旬になって、下落してきたハイテク銘柄に関するこんなアナリスト・リポートが機関投資家の元に毎日届けられている。だが、“読者”側からは「もうこりごりだ」(欧州系投信幹部)との声が上がっている。
ハイテク株が揃って年初来の高値を付けた今年の春先も「割安」というアナリストの“お墨付き”が付いていた。が、今はハイテク株が総崩れで未だに底値が見えない状態だ。「もう信じられない」との本音には、怨嗟(えんさ)の念すらこもっている。
●投資判断引き下げラッシュ
お盆明けからは、京セラ<6971>や村田製作所<6981>、富士通<6702>、東芝<6502>など、ほぼ日替わりメニューと言ってもいいほど主要ハイテク企業の業績下方修正とリストラ計画が集中発表された。米国のITバブル崩壊の影響が長期化し、「今年下期からの回復」とお題目を唱え続けてきた日本企業にも、現実の荒波が押し寄せてきた格好だ。
この間、大手外資系証券のハイテク・アナリストの間で「買い」、依然「売り」と投資判断が分かれる局面があったが、今回の「“ハイテク総崩れ”を的中させたアナリストはほとんどいない」(米系投信幹部)。むしろ8月の株価急落局面では、「他社が判断を引き下げるからウチも下げなければといった横並び的なリポートばかりが押し寄せてきた」(同)という。
アナリストが所属する証券会社の営業戦略上、「自分の判断だけで(投資判断を)踏み止まらせる訳にはいかない」(米系証券アナリスト)がケースが多いことは、機関投資家は百も承知だ。この“前提条件”があるにせよ「引き下げラッシュの勢いはすさまじかった」(先の米系幹部)のだ。
●今更「割安」と言われても
引き下げラッシュが一段落したあと、「今度は“割安”ラッシュが始まったため、もういい加減にしろと言いたい」(先の欧州系幹部)と語気を強める投資家が急増している。
不機嫌な機関投資家が増えているのは、何も大量にメール送信されてくるリポートの処理が煩雑だからではない。「ITバブル後のリストラ計画で、ハイテク企業ごとに今後の事業戦略が様変わりし、慎重に先行きの収益動向やマクロ環境を分析せねばならないのに、“割安”という単純なくくりだけで買わせようという意図が透けてみえる」(同)ためだ。
機関投資家側も自らアナリストを擁している。今回の下落局面で見切り売りを余儀なくされた向きの中に、自前アナリストのハイテク株への判断ミスも多数含まれていたことは事実だ。しかし、証券会社のビジネス、つまり主幹事業務などを通じて、「そろそろ株価を上げてくれ」との意図を汲み取ったみえみえの推奨レポートが「相も変わらず送られてくるのはいかがなものか」(国内系投信)と、セル・サイドアナリストのお題目大合唱に愛想を尽かす向きが増えている。
○URL
・京セラ
http://www.kyocera.co.jp/index1.htm
・村田製作所
http://www.iijnet.or.jp/murata/index_j.html
・富士通
http://jp.fujitsu.com/
・東芝
http://www.toshiba.co.jp/
[相場英雄 2001/08/29 15:18]