投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 8 月 29 日 01:12:10:
柳沢伯夫金融担当相が28日、主要行の不良債権比率を半減させる目標を打ち出したのは、処理の進ちょく状況がみえにくいという指摘に応えて、金融当局として「最終処理後の正常な姿を示す」(金融庁幹部)ねらいだ。しかし、金融庁の試算は、小泉内閣の構造改革が成功することが前提条件。先行きの経済指標の見通しをち密に積み上げたものではない「机上の目標」で、説得力には疑問符がつく。
試算は、01年度から3年間の不良債権の新規発生額を年間6兆円台とみている。しかし、経済成長率などの予測値を根拠にしたものではなく、現状の新規発生額をベースにしている。金融庁は「現状でも経済は厳しい」と説明するが、景気が一段と悪化すればこれまで以上に不良債権が高水準で発生し続ける可能性もある。
試算を提示された経済財政諮問会議の吉川洋・東大教授は「根拠を示してほしい」と疑問を投げかけたほどで、金融庁のシナリオ通りに不良債権が減少するかは極めて不透明と言わざるをえない。
また、金融庁は「試算に沿って処理しても、銀行の自己資本比率は低下しない」と言うが、株価の下落リスクは考慮していない。株価が底割れすれば、金融機関に対する公的資金再注入論にも発展しかねないだけに、今回の目標は「危ういかけ」に出たともいえる。 【木村旬】
[毎日新聞8月29日] ( 2001-08-29-01:10 )