投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 8 月 28 日 19:44:49:
買ってやられ、売ってやられる―大損をする最悪の投資パターンである。しかし、兜町では大天井で超強気になり高値つかみをし、底値で超弱気になり投げさせられてしまう最悪例は後を絶たない。相場はまさに心理学の実験場である。投資家心理のウラをかき、強気、弱気で翻弄（ろう）して手玉にとってしまうのだ。今回、この相場心理学のドツボにはまったと憶測されているのが、野村証券＜8604＞の例の1兆円ファンドである。組み入れた値がさハイテク株を安値で1000億円も売却し、かわって中低位
の都市再生関連株に入れ替えたとのウワサがしきりだ。「買いの曲がり屋は売りでも曲がる」とは兜町の定説である。となると、逆にハイテク株は底打ちが近く、都市再生株は天井圏との見方も成立することになる。いずれにしろ、今後の相場展開を考えるうえで等閑視できない憶測なのである。
●1兆円ファンドが大量の銘柄入れ替え
野村の1兆円ファンド「日本株戦略ファンド」は、投信ブームとIT（情報技術）ブームの申し子であった。まず金融ビッグバンを背景に新しい資産形成商品として、米国のメガ投信「マゼラン・ファンド」を目指し、昨年2月に1兆円の資金を集めて設定された。次に、組み入れ銘柄は、IT革命の盛り上がりのなかNTTドコモ＜9437＞、ソニー＜6758＞、京セラ＜6971＞などの値がさハイテク株が中心となった。
ところがその後の運用成績は当初の狙いとは大きく異なってしまった。自らの大量買いが、組み入れ株の株価を吊り上げ高値を形成した結果となり、後は値上がりしかなかったからである。このため現在の基準価額は、5000円台と当初の半値程度に目減りしてしまった。
●懸念される都市再生株の高値つかみ再現・・・
そこで今回、銘柄入れ替えに動き、起死回生を目指したというのが、兜町の憶測だ。
ハイテク株を売り、都市再生株を組み入れたというのだ。確かにハイテク株は、世界同時のハイテク不況で業績が大きく下振れ、回復のメドは立たずどんどんズレ込んでいる。意を決した損失確定売りは当然といえば当然だが、今度はこの売りでNTTドコモやキヤノン＜7751＞が年初来安値を更新、底割れしてしまったから問題がややこしくなった。
この売りが、底値を叩いたものであるとすると昨年2月の高値掴みに続く売りの曲がりとなる最悪のパターンになるかもしれないのである。それはまた、積極組み入れの都市再生株が高値つかみの再現とならないかという懸念にもつながる。
●無差別売り、無差別買いから選別投資
相場は時計の振り子のように超強気と超弱気の間を揺れ動くのが常だ。そして後から振り返ると、正解はその真ん中、中庸にあったと判明するケースが多い。今回もこのケースだとすると、ハイテク株は大底打ちの八合目、都市再生株も人気過熱の八合目で、それぞれ無差別売り、無差別買いを慎しむ選別投資の時期に差しかかっていることになる。1兆円ファンドの銘柄入れ替えは、時宜を得た問題提起といえそうなのである。
○URL
・野村証券
http://www.nomura.co.jp/
・NTTドコモ
http://www.nttdocomo.co.jp/
・ソニー
http://www.sony.co.jp/
・京セラ
http://www.kyocera.co.jp/index1.htm
・キヤノン
http://www.canon.co.jp/
[相馬太郎 2001/08/28 09:23]
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。