投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 8 月 23 日 20:20:07:
23日の東京株式市場は大幅に反落し、東証株価指数(TOPIX)は今年最安値を3営業日ぶりに再び割り込んだ。日経平均株価もバブル後最安値を更新し、市場では「下値のめどが立たない」と弱気な見方が大勢だ。ハイテクを中心とした01年度の企業業績の下方修正が相次いでいることが、市場心理を冷やしている。
◆ロームショック
日銀の一段の金融緩和を促した8月13日の株安は、電子部品大手ロームの業績修正がきっかけだった。同社は、特定顧客向けのIC(集積回路)に特化し、富士通など汎用品メーカーに比べて不況の影響は受けにくいとされてきた。02年3月期の連結営業利益が前期比58%減の580億円にとどまるとの内容に、市場にはショックが広がり、連想で京セラなども大幅安となった。
◆米国の影
新光総研のまとめによると、金融を除く全産業(東証の全上場企業)の今年度の経常利益は、6月末時点で前年度比1・9%の増益見込みだった。しかし、その後、業績下方修正が相次ぎ、現在では減益予想(2・3%減)に転じている。
とくにハイテクの業績悪化は目を覆うばかり。市場では、ハイテク企業は年内には、徐々に業績を持ち直してくるとの見方が強かった。しかし、頼りの米国の回復が想定よりも相当遅くなりそうで、それが国内企業の回復に影響しかねない状況になっている。
◆10、11月にさらに?
新光総研の宇高日出男投資分析課長補佐は「業績悪化が鮮明になっているが、これはまだ今下期の状況を織り込んでいない数字。中間決算発表の相次ぐ10月、11月にさらに下方修正が相次ぐことも考えられる」と指摘する。市場はその段階で、回復の遅れを嫌気しさらに株価が下落する可能性もあるわけだ。
大手証券は「短期資金の仕掛け的な売りが下落の一要因だが、企業業績の回復に疑心暗鬼なため、下値で買いづらい状況」という。
住友生命総研の霧島和孝・上席主任研究員は「国内企業の業績が良くなるには、米国企業の業績回復か、国内個人消費の好転しかない。米国は来春まで回復が遅れるだろう。内需を増やす方法はなかなか困難で、ハイテク企業の業績回復は来年夏になるのでは」と話している。 【江南護】
◆主な業種の02年3月期経常利益予想(前期比)◆
8月22日現在 6月末時点
全産業(除く金融) ▼2.3 1.9
製造業 ▼7.6 ▼0.8
繊維製品 14.5 16.4
石油・石炭製品 18.0 9.9
鉄鋼 ▼30.7 ▼26.6
食料品 15.7 19.4
金属製品 27.1 16.6
電気機器 ▼37.3 ▼16.7
精密機器 ▼2.8 ▼2.8
非製造業 5.5 5.8
水産・農林業 19.4 10.7
建設業 ▼4.7 ▼4.4
電気・ガス業 ▼5.8 ▼5.8
通信業 8.9 8.9
卸売業 3.0 4.5
小売業 18.7 18.6
不動産業 8.9 8.9
サービス業 6.8 8.8
金融業 94.4 117.1
銀行業 226.1 243.3
証券業 ▼34.2 6.3
保険業 7.6 7.6
(新光総研まとめ、単位・%)
[毎日新聞8月23日] ( 2001-08-23-20:17 )