投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 8 月 22 日 17:38:09:
手詰まり感の漂う日銀の金融政策で注目されるのは円安誘導策だ。円安による輸出のテコ入れが企業収益に貢献できるほか、輸入物価の押し上げでデフレ阻止も見込めるからだ。
具体的には、日銀が銀行の保有する外貨や外債を購入し、資金供給する構想が「円安誘導策」の一環に取りざたされている。日銀内にも「検討に値する」(翁邦雄・金融研究所長)と評価する向きは、強い。BNPパリバ証券によると円が10%下落すると実質経済成長率(GDP)は年間0.4ポイント上昇し、消費者物価指数(CPI)も0.3ポイントアップするという。
市場関係者の間では、新規発行のCP(コマーシャル・ペーパー)や社債を日銀が購入する買い切りオペレーション(買いオペ)も脚光を浴びている。国債の買いオペは銀行の資金繰りを潤沢にする狙いだったが、CPや社債の買いオペは日銀が産業界に直接、お金を出そうとの発想だ。自民党内で高まるインフレ目標導入に関連し「新しい資金供給の手段」(アナリスト)との期待もある。
とはいえ、こうしたアイデアには問題もある。三月の量的緩和策導入後、円相場が一ドル=一二五円まで進み、東南アジア諸国連合(ASEAN)から懸念が相次ぐなど「人為的」な円安誘導には外国の反発が予想される。速水総裁も「世界全体に影響を与える。今は必要ない」と否定的だ。
銀行を飛び越えるかっこうのCPや社債の買いオペに日銀は「想定していない」(別の幹部)と冷ややか。ジャブジャブの資金供給しても、銀行の貸し出しが四十カ月以上も前年割れが続くなど資金需要が弱いなか、「過去に例のない冒険のような真似はできない」(同)との立場だ。
金融政策で日本経済の難局を打開すべきだ、との声が強まれば強まるほど、「次の一手」への期待と重圧は、日銀に重くのしかかっている。