投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 8 月 22 日 01:52:52:
金融庁が設置を検討している銀行株式取得機構(仮称)の組織や株式買い取りの仕組みが固まった。大手10行前後の銀行が発起人となり、全国の銀行と農林中央金庫、信金中央金庫などから100億円の拠出金を集めたうえで、金融庁に設立認可を申請する見通しだ。2002年3月期決算を控え、銀行などが放出する保有株式の受け皿とするため、金融庁は9月に開かれる臨時国会に設置法案を提出し、来年1月の業務開始を目指す。
銀行株式取得機構の仕組みの中で最大の焦点となったのが国の資金負担問題だったが、国が拠出金を出すのは「銀行救済」という印象が強過ぎるとして見送られた。
結局、機構が買い取り資金を市中から調達する際に2兆円までの政府保証を付け、10年後に機構が解散する時に損失が出た場合は、銀行からの拠出金で埋めることにした。その上で、なお資金が不足する場合に限って国が税金で補てんする仕組みとすることで、国と銀行側が折り合った。
機構の利用者となる銀行側は、全国銀行協会や大手行が中心となって、機構の運営方法や業務規則などの細部の検討に入った。
ただ、設立のための拠出金額を各行一律に割り振る案が出ていることに対し、保有株が大手銀行ほど多くなく、利用頻度が低いと見られる中小銀行からは不満が出ており、業界内での調整が残されている。
機構の仕組みでは、機構は銀行から買い取った株を市場に売るだけでなく、取引所で自由に売買できる投資信託であるETF(上場投資信託)を積極活用することがポイントだ。
ETFは複数の株式銘柄をまとめた投資商品で、証券会社が、ETFを組むための銘柄の注文を機構に出し、機構が各銀行から株を買い集める方式をとる。
証券会社にとっては、自ら必要な株を少しずつ買い集めるより、機構が銀行に声をかけて集めた株を一気に買い取る方が、「幅広い銘柄を1度に大量に買える」(証券関係者)利点がある。
銀行が株を市場で売ろうとしても、1度にすべては売れず、少しずつ売る間に株価が下落していく恐れもある。その点、機構は銀行から買い取った株式をいったん保有し、相場状況を見ながら売却できるため、「株価急落を避けられる」(金融庁)メリットもある。
ただ、実際に機構が積極的に利用されるためには、銀行にとって市場売却より機構売却の方が有利になる仕組みが不可欠だ。このため金融庁は、株を機構に売却する銀行への税制上の優遇措置を検討している。機構に株式を売却した際の譲渡益課税を2―3年程度繰り延べる軽減措置を導入する案が有力だ。
柳沢金融相は「証券税制改正は中・長期的展望に立ち、細切れでなくパッケージで実現したい」と述べており、秋の臨時国会に向けて改正論議が注目される。
(8月21日23:03)