投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 8 月 18 日 20:21:10:
気温や降雨日数などに応じて補償金を支払う「天候デリバティブ」と呼ばれる金融派生商品の販売が好調だ。損害保険会社が中堅・中小企業向けに開発した商品を今春から、全国の地方銀行が仲介して販売を始めたところ、契約件数が急増。契約は季節を先取りするため、早くも秋の長雨や暖冬に備えた商品が注目を集めているという。
天候デリバティブは、あらかじめ設定した気温や降雨日数、降雪量などに応じて、金融機関が契約者に補償金を支払う金融派生商品で、米国で発達した。天候によって客足や出荷など売り上げに影響を受ける遊園地やゴルフ場、アイスクリーム製造業者などの収益減少を補うのが目的だ。例えば屋外型レジャー施設の場合、4〜11月の土日・祝日に降水量1ミリ以上の日数が平年を超えた場合、1日当たり300万円を、15日間を上限に保証する商品などがある。
国内では99年6月、三井海上火災保険がスキー用品販売会社に対し、積雪が予想よりも少なく、スキー用品が売れなかった場合に補償する商品として販売したのが第1号で、その後、損保各社、銀行などが参入。今年3月までの販売実績は、大企業を中心に約200件、契約上の支払限度額の合計も約100億円にとどまっていたが、地銀が販売の仲介を始めたことで知名度が一気に高まり、4月以降の新規契約が急増。契約は1000件に迫り、支払限度額の合計も数百億円に達するという。ちなみに今年は猛暑で、冷夏や長雨に備えた契約があったものの、補償金の支払いはほとんどなかった。しかし、秋の長雨などで客足が減る屋外テーマパーク、百貨店、暖冬で売り上げが落ちる「なべ料理」など外食産業の引き合いが多いという。
四季のある日本では、国内企業の約7割が天候に収益を左右されると言われ、日米欧の金融機関などが参加する「天候リスクマネジメント協会」(本部・米ワシントン)は、日本でも天候デリバティブの取引が「今後2〜3年で約5500億円に達し、米国に匹敵する市場に成長する」と予測している。 【川口雅浩】
[毎日新聞8月18日] ( 2001-08-18-20:08 )