投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 8 月 14 日 18:59:10:
大方の予想に反して、日銀が動いた。当座預金残高を5兆円から6兆円に引き上げ、長期国債買い切りオペを増額することを本日の政策決定会合で決めた。
これを受けて株式市場は好感。日経平均現物指数は、11917円95銭、前日比440円39銭円高で取引を終了した。
前場から決定会合の結果が市場に流れるまでは、業績を下方修正を発表しアナリストの格下げが相次いだロームがストップ安売り気配に張り付き、京セラ、アドバンテスト等の値嵩ハイテク株も昨日までの下落に対する自律反発程度の動きであった。また、大手銀行株も特に大きな動きはなく全体指数が自律反発を続けるのにあわせて総じて小動きであった。
しかし、日銀の決断が市場に電子媒体を通じて流れると景色は一変。まずは、大手銀行株に買い戻しが入り、銀行株がショートカバー中心に急騰。この動きに、TOPIXが反応し、次いで、日経平均が引っ張り上げられる格好となった。ただし、今回の日銀の対応が、政治圧力に屈した感が否めないこと、今回の政策自体の効果が実体経済を押し上げる効果が期待し難いことを考えれば、株式相場上昇継続シナリオは描き難いと言えよう。
「破綻なくして不良債権処理なし」の前提に立てば、ここ最近の経済ニュースは、「問題先送り」の感強くこの面でも先行きに期待が持てる状況ではない。また、自民税調の先生方も夏休みを満喫し、小泉首相もサマーバケーションを楽しんでいることだろう。このことから、日銀の金融政策を受けて、財政政策が矢継ぎ早に出てくるとの期待も抱き難い状況と覚悟しておきたい。
上昇相場継続の条件は、2つ。まずは、銀行が不採算貸付先の「破綻」の引導を渡すこと。もうひとつが、小泉首相、自民税調幹部が現在の景気状況を十分認識し休み返上を宣言し、「やる気」を市場に示すこと、を挙げておきたい。それなしでは、来週以降、市場関係者が戻ってきたとたんに売り圧力が強まり、下値模索の展開を覚悟しておく必要があると考える。