分析「日本の政治を読む」〜一層の景気悪化なら「麻生首相」擁立も(PAXNET)

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投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 8 月 13 日 19:26:15:

●靖国参拝で究極の選択に

政局は、小泉純一郎首相が予定通り15日の終戦記念日に靖国神社を参拝するかどうかに大きな注目が集まっている。4月の自民党総裁選以来、幾度となく言明してきた「公約」だけに、もし中止となれば、「小泉改革」の貫徹方針にも黄色信号が灯りかねない。また15日以外の参拝でも、首相の売り物の頑固一徹な「有言実行」の姿勢に疑問符がつくことは避けられないだろう。
一方、参拝断行は中国、韓国の強い反発を招くなど外交的に非常に困難な問題を抱え込むだけではなく、公明党の離反など与党内に亀裂を生じることも不可避。どちらを選んでも政権へのある程度の影響は避けられない、という首相にとってはまさに「究極の選択」となる。
首相は11日夜、自民党の山崎拓幹事長、加藤紘一元幹事長と会談、両氏から靖国参拝問題で意見を聴いた。YKK3氏はこの10年来、政局の節目では必ず腹を割って話し合っており、それだけ首相の苦悩ぶりが浮き彫りになった。この会談で加藤氏らは外交的配慮を優先し、15日以外の可能性を探るよう進言した。これに対し、首相は「総合的に考えたい。もう少し時間が欲しい」と答えたという。
小泉首相にしてみれば、15日の参拝中止または変更は、先に挙げた理由で政治的に大きなマイナスとなりかねない。特に、持論の構造改革が2002年度予算編成によって具体化されようとする矢先に、政治的信頼が失墜する事態に陥れば、抵抗勢力の猛烈な巻き返しにさらされるだけでなく、政権の存亡そのものにも発展する可能性すらある。
このため仮に参拝を中止・変更する場合はそれなりのしっかりとした理由が必要で、間違っても「外圧に屈した」印象を避けなければならない。辛うじて、靖国神社側がそもそも「8月15日の参拝にはこだわらない」としている点に着目し、変更の理由にできるかだろう。
小泉首相はそもそも、かつての中曽根康弘首相の時のような「戦後政治の総決算」との意気込みで靖国参拝を言明したのではなさそう。しかし、これで中止または変更に追い込まれれば、当分、首相の靖国参拝は実現しないどころか、新たに新年恒例の首相の伊勢神宮参拝も問題視される可能性が出てこよう。

●着々と進む抵抗勢力の“小泉包囲網”

小泉首相は10日、自民党総裁に無投票で再選された。任期は2年。今回の再選は先の参院選の自民党大勝を受けたものだが、なぜか首相の表情はさえない。その理由は第1に、参院選で大きく勢力を延ばした橋本派が今回まっ先に支持を表明、江藤・亀井派も同調するなどいわゆる“抵抗勢力”による首相の取り込みが始まっていること。
第2に、小泉首相誕生の原動力となった加藤、山崎両氏や公明、保守両党、それに田中真紀子外相などが首相と距離を置き始めたことが挙げられる。つまり、もともと政界では数少ないと言われた小泉首相の盟友がどんどん遠ざかり、逆に抵抗勢力による“小泉包囲網”が着々と進んでいることを意味する。

●一層の景気悪化なら「麻生首相」擁立の声も

首相の総裁再選で「総理は年内解散はしない。するとしたら、3年後に衆参同日選」と、一見すると小泉政権が長期政権化しようとの見方が出始めている。しかし、これは別の見方をすれば、首相の「解散権封じ込め」とも理解できる。つまり、抵抗勢力が改革断行にどんなに異を唱えても、首相には衆院を解散させず、その間に改革が骨抜きにされる可能性があるということだ。
こうしたことを裏付けるように、非主流派の中からは、景気がこれ以上悪くなったら「解散より倒閣。麻生総理でいくか」と、「ポストYKK」として麻生太郎政調会長を担ぐ声も上がっているのは、小泉首相にとっては非常に気になるところ。

●官僚と族議員が総力挙げ特殊法人改革に反対

小泉改革の大きな柱のひとつとなっているのが特殊法人改革。その特殊法人と認可法人に対する「個別事業見直しの考え方」が10日発表されたが、案の定、特殊法人を所管する全省庁から反論の意見書が出され、官僚が首相の「原則廃止か民営化」との方針に徹底的に抵抗する姿勢が鮮明になった。また同時に、自民党の族議員からも特殊法人改革に反対する意見が相次ぎ、図らずも官僚と族議員が実質的に一体化しており、彼等が改革の抵抗勢力であることが示された。
首相と石原伸晃行革担当相は今後、こうした動きを国民の前にできるだけあぶり出し、真に改革に抵抗する者は誰かということをはっきりさせる必要がある。首相の改革姿勢を支援するのは国民の支持以外にはないことは言うまでもない。

●民主党に「巨泉代表説」浮上

先の参院選で4議席増やしたものの、目標の30議席には届かなかった民主党に責任論がくすぶっている。両院議員総会での「党の顔が見えない」との批判に鳩山由紀夫代表が「私が党の顔だ。どうぞご覧になってください」と気色ばむ一幕もあった。
また、比例代表でトップ当選したタレントの大橋巨泉氏が「民主党はセンターレフト(中道左派)であるべきだ」と主張、ある程度の賛同を得ているのに対し、鳩山氏は「これでは党内の過半数の支持は得られない。センターレフトの社民党は負けたではないか。小泉内閣の支持率が70%以上あるように、センターライトの方が国民は安心する」と反論するなど、巨泉氏の言動に過敏になっている。一部には、巨泉氏を代表に推す声もあり、同氏もまんざらではないと言われる。
[政治アナリスト北 光一 2001/08/13 09:27]



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