公的資金:くすぶる再注入論 金融庁は強く否定〔毎日新聞〕

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投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 8 月 12 日 13:14:57:

銀行に対する公的資金の再注入を求める意見が、政府・与党内でくすぶり始めた。不良債権の最終処理に加え株安や時価会計の導入で「銀行の自己資本が不足しかねない」との懸念が強まっているためだ。金融庁は再注入の必要性を強く否定しているが、再注入を促す声は簡単には消えそうにない。論議のポイントを検証した。 【木村旬】

★20兆円の試算も

政府は01年3月期で11・7兆円にのぼる大手行の不良債権を今後2〜3年で最終処理する方針だが、景気後退で不良債権の新規発生が続き、この処理に、銀行は自己資本をすり減らさざるをえない。また、株価低迷の中、9月中間決算からの時価会計導入で、銀行は保有株の含み損の6割を自己資本から差し引かれ、「泣きっ面に蜂」(大手行幹部)の状況だ。
国際通貨基金(IMF)は、「今後の地価下落や倒産増を見込むと不良債権への引当金は20兆〜30兆円不足」と公的資金の再注入を求め、「20兆円規模の再注入が必要」と試算するアナリストもいる。閣内でも竹中平蔵経済財政担当相や塩川正十郎財務相が「必要ならば再注入も検討を」と発言。今月8日の自民党の金融調査会でも金融庁に再注入を促す意見が相次いだ。

★「影響は限定的」

金融庁は「不良債権処理による影響は限定的」と反論する。大手行の自己資本比率の平均は01年3月期で11・7%と健全基準(8%)を上回っているが、同庁は11・7兆円の不良債権を最終処理しても自己資本比率は0・3%しか低下せず、株価が1万1000円でも0・5%の低下にとどまると試算する。
また、資産査定への疑念についても、金融庁は「銀行の自己査定、外部監査、当局の検査と三重にチェックしている」とと強調。IMFなどの見方を「根拠が不明」と指摘し、「疑念を完全払拭する」(森昭治長官)ため、9月中間決算から確認の検査に入る方針だ。

★効果に疑問も

99年の公的資金注入の根拠となった金融機能早期健全化法の規定は今年3月で廃止された。再注入実施は、4月施行の改正預金保険法で、政府が「信用秩序の維持に重大な支障が生じる恐れがある」と判断するかだが、
金融庁は「過少資本に陥った銀行は市場から退場してもらう」(柳沢伯夫金融担当相)と、個別の銀行を救済するために再注入を行う考えはない。
一方、市場には「今の公的資金は返済することが前提。不良債権処理の損失穴埋めには使えず、再注入の効果は限定的」(アナリスト)との懐疑論も根強い。再注入する場合は世論の反発も予想され、簡単には実現できないのが実態のようだ。
[毎日新聞8月12日] ( 2001-08-12-00:39 )



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