投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 8 月 11 日 22:06:12:
Q:日本が財政危機によりアメリカ国債売却 → アメリカ国債暴落 → ドル暴落 → アメリカ発世界恐慌 というシナリオについて
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A:このシナリオは、形を変えて過去数年間に亘って、経済評論家達によって述べられてきています。
このシナリオは、米国からみますと、全く反対のシナリオになってしまうのです。
米国から見たシナリオは、
日本の財政危機>>日本の国債格下げ>>国債を持っている銀行・生保の格下げ>>日本の株式市場暴落 >>円暴落>>世界経済への波及を避けるために、日本を金融封鎖
これが、世界の見方です。
日本では、書籍や、専門家達が、米国発の株式暴落を何度となく述べていますが、実際、基礎的要因をみた場合、日本と米国とでは、どちらが危ないか。
例えば、財政黒字・赤字を見れば、日本は、財政赤字が、年間30兆円を超えています。
米国は、反対に10兆円以上の黒字を計上しています。
次に、貿易収支をみれば、日本は、黒字を計上していますが、早ければこの10月にも、貿易赤字に転落する事になります。
米国は、貿易赤字の半分は、戦略的な輸入である、アラブからの原油になっており、実施的には、貿易赤字は、殆ど消すことが可能なのです。
もし、戦略的な原油輸入を取りやめ、自主原油開発に切り替えれば、米国は、原油輸出国になります。
(ブッシュ政権は、アラスカ原油の開発にOkを出しましたから、いずれ、戦略的な原油輸入は、無くなるかも知れません)
この2つだけを見た場合だけでも、どちらの国が、基礎的な強さを持っているか、お分かり頂けると思います。
日本は、99%原油を輸入しています。
食料も、70%近くを輸入しています。
日本人が生きて行く上で、必要な基礎的なものを、これだけ輸入に頼っている先進国は、日本以外にはありません。
今まで日本は、今の60代、70代の方が、精一杯働き、経済大国を作ってきました。
その総額は、国民金融資産という形で、約700兆円もの現預金になっているのです。
そして、土地の時価総額も1,000兆円を超えるうようになっています。
ところが、今、その蓄えてきた<含み>を消耗していっているのです。
今、日本が抱える不良債権は、以下の通り、膨大なものです。
国債・公債 666兆円
特殊法人の不良債権 180兆円
隠し借金 23兆円
銀行の不良債権 150兆円
総額 1,000兆円
これに、年金債務 700兆円があります。
ここまで、負債が膨らんできており、既に、国民金融資産を全て帳消しにしても、この<負債>を消すことが出来なくなってきています。
小泉改革でも、毎年30兆円もの赤字が増えていくのです。
666兆円に更に30兆円以上が加算され、来年度には、700兆円を超えます。
経済が成長している若い国(例えば、中国等)なら、まだ、この返済は出来ます。
日本は、世界にまれに見る、高齢化が進んでいる、いわば衰退している国なのです。
星が消滅していく時のように、急速に輝きをなくしている国なのです。
このような日本と、全ての基礎的物資を自給出来る米国とを比べるのは、私は、おかしいと思っているのです。
また、日本がもっています約40兆円の米国国債を売れば、世界恐慌になるという専門家がいますが、これも、机上論です。
何故なら、日本がもっています米国国債は、30年国債が多く、これは、米国が買戻しを行っており、今、品不足になっているのです。これを、日本が売り出せば、世界から一斉に買いが入るでしょう。
今、世界の中央銀行は、30年国債が入手難であるために、社債を購入する動きも出てきているのです。
米国国債と同等のAAA格である、IBM等の社債を購入さぜるを得ないような、状態になっているのです。
もし、日本がもっている40兆円余りの米国国債を売れば、あっという間に消化されるでしょう。
日本にいます評論家達は、このような事情は知らないのでしょう。
ですから、ピントがずれたストーリーが出てくるのです。
また、もし、日本が米国債を売った場合は、日本は、世界から何も買えなくなってしまうでしょう。
今は、まだ、貿易黒字もあり、また、ドル資産もあり、これをいわば担保にドルを買えていますが、貿易でも赤字になり、市場でドルを調達することになりますし、米ドルの担保がない、日本円を誰が購入してくれるでしょうか?
原油を購入するのにも、小麦・大豆を輸入するのに、円では誰も売ってくれません。
日本が持っています<米国債>は、世界と貿易する上での担保なのです。この担保が無くなれば、日本は、裸の王様になり、誰も相手にしてくれないでしょう。