投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 7 月 26 日 20:12:43:
「ハイテク株投資に特化した米系ヘッジファンドが経営危機に直面しているようだ」―。日経平均株価がバブル崩壊後の最安値を更新した23日の東京株式市場で、こんな噂が関係者の間を駆け巡った。
同日は主力のハイテク株が海外投機筋の売りに急落を演じ、相場全体の下げ足を加速させた。この売りの中には「売って値ザヤを稼ぐ」投機筋特有の手口のほかに「売らざるを得ない」売りも混じっていたようだ。
●大手からの分派組?
「やられているところは間違いなくあるはずだ」(銀行系証券幹部)。この幹部が分析するのは、ジョージ・ソロス氏などかつての大手ヘッジファンドの運用部隊から分派し、特定業種の株式や通貨、商品市場などの運用に特化した中小規模のヘッジファンドのことだ。
23日に駆け巡った噂の主は、やはり大手ファンドから独立し、先進国のハイテク企業の株式を運用対象にしたファンド筋。
「昨年は大もうけしたが、引き際を間違えて巨額のリターンを生んだ保有ポートフォリオが多額のロスに転じている」(別の銀行
系証券)との観測が流れた。
23日の急落局面では、内外機関投資家のファンドマネージャーたちが、あまりの下げ圧力の強さに疑心暗鬼に陥っていた。このスキを突いて一部ファンド筋が売り仕掛けに動いたことは確実だが「経営危機ファンドの息の根を止めるため、あえて売り煽ったものも含まれていた」(市場筋)との分析もある。
●突発的な売りのリスクが
加えて、この米系ファンドが日本を含む海外市場でハイテク株を物色した過程で「ドル高基調の定着とともに、為替面でのロスも相当膨らんでいる」(同)と見られていることも、経営危機説に真実味を加えた。
かつて、大手ファンドのロングターム・キャピタル・マネージメント(LTCM)が新興国への投資失敗を機に経営危機に直面した際は、米金融当局が事態収拾に動くなど、国際金融市場が大きく動揺する場面があった。幸いというか、今回の経営危機説は「規模が小さく、LTCMの時のような緊張感はない」(先の幹部)。
ただ、世界的なハイテク企業の不振や同時不況説が払しょくされない中では「ファンドの経営危機に起因する突発的な売り物が出るリスクは常につきまとう」(同)ことになり、市場関係者は、今後も神経質な商いを強いられる局面が出そうだ。
[相場英雄 2001/07/26 15:10]