投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 8 月 08 日 19:19:45:
7月26日、2002年3月期の第1・四半期の連結決算を発表したソニー<6758>の株価が急落し、市場全体に“ソニー・ショック”として伝播した。
同社株は決算発表前の7000円台から一気に5780円まで下落した。通常ならば、売られ過ぎの修正から買い戻されるはずだが、その後もなぜか反発力に乏しい。その背後には巨額の“処分売り”
に怯える市場関係者の姿が浮かび上がる。
●ショック広がる
ソニーは7月26日の引け後、四半期連結決算を発表した。売上高は前年同期比4.6%増の1兆6377億円に達したものの、税引き前損益は143億2700万円の赤字と第1・四半期決算としては初の赤字に“転落”した。
決算発表を受け、内外証券のアナリストが相次いで投資判断を引き下げ、同社の株価は翌27日に一時6080円まで下落した。機関投資家が売りを出したほか、個人投資家からの売りもかさんだためだ。
ただ、市場参加者の大半が同27日の安値6080円がほぼ下げのめどと考えていた。
ソニーの赤字については「不具合携帯電話の回収という一過性の要因に起因するところが大なうえに、世界的なハイテク不振が収まれば、ソニーの回復は一番早い」(米系証券アナリスト)との読みがあったからだ。
●“巨艦ファンド”からの売り
ところが、週明け7月30日の市場では、こうした見方は一瞬のうちに吹き飛んでしまう。寄り付き前の成り行き注文段階から、「米系の大手証券数社から一斉に巨額の売り注文が出された」(米系投信)。
このため、同社株へのろうばい売りがかさみ、同日は一時5780円と6000円の大台をあっさりと割り込んでしまった。5月22日に付けた年初来高値1万340円の半分近くになった計算だ。
この日、市場関係者を震撼させたソニー株売り主は「米系最大手の運用会社」(同)だったことが確実視されている。米国内だけでなく、世界的にも大手として有名で、“巨艦ファンド”を持つ運用会社だ。
市場筋の推計では、同社が運用する日本株ファンド約4000億円のうち、ソニー株の組み入れ比率は約3%。同日の取引では、「3%の比率が限りなく2%に近づいたのでは」(別の米系投信)との観測まで広がった。
●心理戦の様相も
30日の急落以降、さすがに巨額の売り物はみられず、ソニー株は一時6500円まで買い戻された。ただ「他の業績悪ハイテク銘柄と比べると、極端に戻りが鈍い」(銀行系証券)ことは否めない。背景には「巨艦ファンドの強烈な売りを見た以上、他の機関投資家がいつ売りを出すか分からず、心理戦の様相が強まっている」(同)ことがある。巨額売りを出したファンドのみならず、内外機関投資家で日本株を扱う向きのほぼ全てがソニー株を運用対象としているとされる。
「戻り余地が限定的との見方が大勢を占めれば、再び売りが活発化する。その前になんとか投資比率を引き下げなければ」(欧州系投信)と、依然売りの機会をうかがう機関投資家が多い。ソニーの株価は、その業績回復の度合いとは無関係に、巨大な薄氷の上に乗っているといっても過言ではない。
○URL
・ソニー
http://www.sony.co.jp/
[相場英雄 2001/08/08 11:28]