投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 8 月 07 日 21:31:00:
安定的に推移してきた長・中・短期の金利がそろって上昇に転じている。9月中間決算を控え、不良債権処理の上積みを迫られた銀行が利益を確保するため債券売却を進めているのが主な原因だが、補正予算論議に伴う国債の増発議論などを背景に市場に「先行きへの不安が醸成されつつある」との見方も出ている。
7日の債券市場では、長期金利の指標銘柄である10年物国債の利回りが一時1・44%まで上昇(価格は下落)、4月20日以来の水準となった。都銀などの売りが先行する一方、夏季休暇や中間決算期末を控え積極的な買い手が少ない中、海外勢の売りも加わり、金利上昇に拍車をかけた。
また、中期債市場でも、5年物国債が7月以降じわじわと上昇。8月3日に5月7日以来約3カ月ぶりに0・5%に乗せ、7日も前日比0・03%上がり0・56%となった。銀行が長期国債では足りず、これまでほぼ一貫して値上がりしてきた中期国債を売って利益を確保する必要に迫られた模様だ。
短期金利も上昇。円3カ月金利先物市場でも、02年3月物は3月29日以来となる0・2%にまで上昇した。3月期末は資金需要が強い上、「6日に格付け会社が都銀を一斉に格下げした影響が出た」(大手都銀)という。
市場には、「補正予算論議に伴う国債増発懸念が続くため、しばらくは調整を伴う」(UFJキャピタルマーケッツ)との見方がある。また一方で、構造改革路線の痛みへの懸念も強いことから、「構造改革を急速に進め頓挫した場合、従来型の経済政策に逆戻りし、国債が増発され、債券売りにつながる」(大和証券SMBC)と不安視する見方もある。市場は、その場しのぎの景気対策も、急激な構造改革も、ともに否定的であると言え、改革がナローパスであることを裏付けている。 【増田博樹】
[毎日新聞8月7日] ( 2001-08-07-19:33 )