雪印食品の関東ミートセンター(埼玉県春日部市)が、カツレツの原材料に輸入豚肉を使いながら「国産」と表示するなどの偽装をしていたことが8日、明らかになった。同センターでは輸入牛肉を国産と偽装していたことも分かっており、ニセ表示が抵抗感のないまま繰り返されていた実態が浮かんだ。
農水省が日本農林規格法(JAS法)違反の疑いで実施した立ち入り検査で判明した。同省は8日、同社に対し、適正な産地表示が確認されるまで、豚肉みそ漬け、カツレツ類など「調味豚肉」の市場流通を自粛することなどを指示した。
同省によると、(1)3、4年前から輸入豚肉のスライスを国産と表示(2)00年8月ごろから、神奈川県産と青森県産を合わせた肉を「神奈川県産」と表示(3)01年6月ごろから、輸入豚肉を使ったカツレツやみそ漬けを国産と表示(4)同年11月ごろから、茨城産と群馬産の豚肉を「青森県産」と表示−−して、それぞれ販売していた。
検査に対し複数の社員が告白した。いずれも「だれの指示も受けていない」と供述。スーパーなどが注文してきた商品が足りなくなると、勝手に表示をごまかして国産品や神奈川県産などに見せかけていた、という。
また、偽装について1人の社員が報告した際、当時のセンター長は黙認したという。
同省は1日から7日までの間、同センターのほか雪印食品本社と北海道、東北の両ミートセンターにも立ち入り検査したが、関東以外での偽装は確認されなかった。(19:04)