★阿修羅♪ 狂牛病・遺伝子組換3 ★阿修羅♪ |
雪印乳業<2262>が、工場整備の衛生管理を怠って食中毒事件を起こしたのが2000年夏。それからわずか1年半後、同社の子会社である雪印食品<2287>が、狂牛病問題覚めやらぬ時期に引き起こした今回の牛肉産地偽装問題で、雪印グループ全体が存亡の危機に立たされた。
雪印食品では、連日の強制捜査をはじめ、社長が辞任、食肉事業からの撤退を強いられるなど、すでに突然死状態だが、ある業界関係者はこう語っている。「本当に厳しくなったのは、親会社の雪印乳業のほうでしょう。子会社の雪印食品は、グループで最大級の関連会社だが、今回食肉事業からの撤退といっても、このジャンルでの雪印の認知度、購買度は、親会社とは比較にならない。何とか再建のメドを立てようとしていた雪印乳業は今後、提携といった生易しいいものではなく、まるごと買収されるかもしれない」
●株価下落で安い買い物?
確かに子会社に比べ、雪印乳業は長年、業界では断トツで名門ブランドとして消費者の支持が厚かった。つまり、トップ企業として強い財務基盤と内部留保を蓄積してきたわけで、営業的にはボロボロになっても、提携、あるいは買収をもくろむ企業にとってはうま味のある企業ということができる。加えて、今回の子会社の不祥事では連動して雪印乳業の株価も大幅にダウン、費用対効果でみれば有形無形の多くの資産があるだけに、安い買い物になることは間違いない。
雪印乳業は食中毒事件後、自力再生は不可能とみて、ヨーグルトや乳飲料分野でネスレジャパンと業務提携し、折半出資で「ネスレスノー」を設立している。また、冷凍食品事業では伊藤忠商事<8001>と提携、共同持ち株会社を設立した。ただ、根幹をなす牛乳や乳製品は自主独立を貫きながら再建の道を模索してきた。
●ネスレにもチャンス
ところが、今回の子会社の不祥事で、雪印ブランドはいよいよ土壇場まで追い込まれている。一方、見方を変えると、ネスレや伊藤忠としては願ってもないチャンス到来である。奇しくも、ネスレと伊藤忠は冷凍食品事業分野で提携関係を結んでおり、今後、雪印の救済に対しても、両社が何らかのアプローチをする可能性が極めて濃厚とみられる。
とくに、ネスレにとっては、世界に冠たる食品メーカーとはいえ、日本市場での遅れを挽回する下地ができる。川下事業を強化する伊藤忠にとっても、食中毒事件後“バツ印”と揶揄されていとはいえ、業界トップ企業を傘下におさめられれば、それなりにメリットは大きい。
雪印グループでは、再建資金捻出のため、雪印アクセスという卸子会社の株式の35%を今回の牛肉偽装事件前に伊藤忠をはじめ大手商社数社に分散売却している。雪印食品についても、事件が一段落すれば伊藤忠系の強力な食品卸である伊藤忠食品<2692>が食指を伸ばす可能性がある。すでに水面下では伊藤忠を軸とする“兵糧攻め”が着々と進んでいるのである。