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ごみ焼却施設から出るダイオキシンが、周辺で生まれた赤ちゃんに与える影響を調べていた国立公衆衛生院などの研究グループは24日、東京都内で開かれている日本疫学会で、「はっきりした影響は分からない」とする調査結果を公表した。約45万人の赤ちゃんを対象にした国内初の大規模調査で、乳児死亡数などの一部に増加傾向がみられたが、統計学的には明確なリスクを示したものではないという。
対象は、旧厚生省が97年4月に排ガス中のダイオキシン濃度が1立方メートル当たり80ナノグラム(ナノは10億分の1)を超え、緊急対策が必要だとした全国63の焼却施設周辺。半径10キロ以内に住む母親が97年と98年に生んだ赤ちゃん45万1041人と死産した6728人について、女児の出生数▽乳児死亡数▽先天異常による死亡数などを計算。施設からの距離で1キロごとに分け、全国平均からの予測値と、実際の調査値を比べた。
その結果、女児や低体重児の出生率、死産率に差は出なかった。施設から1〜2キロの区域で、1年以内に死亡した乳児死亡数と先天異常による死亡数が予測値を若干上回ったが、影響を示すような意味のある差ではなかった。
同院の丹後俊郎・理論疫学室長は「煙突から出る煙の影響は、施設から2キロ付近が高いことも考えられるが、今回のデータでは、はっきりした影響があるとも、ないとも言えない」と話している。 【吉川学】(毎日新聞)
[1月24日19時8分更新]