★阿修羅♪ 狂牛病・遺伝子組換3 ★阿修羅♪ |
狂牛病や人のクロイツフェルト・ヤコブ病の病原体である「異常プリオン」に極めて強く結びつく特殊なたんぱく質(特異抗体)を、帯広畜産大の品川森一教授と堀内基広助教授のグループが発見した。異常プリオンは、立体構造や感染のメカニズムなど未知の部分が多いが、この特異抗体を詳しく解析すれば、これと結合する異常プリオンの立体構造が解明でき、狂牛病や人のヤコブ病の新たな診断法や治療法の開発にもつながると期待される。
プリオンは、多くの生物の体内にもともと存在するたんぱく質の一種。正常プリオンの役割は不明だが、狂牛病や人のヤコブ病、羊のスクレイピーなど、脳の神経組織が破壊されて死亡する一連のプリオン病は、正常型が異常化することによって発病する。
異常型は体内に入ると、正常型の立体構造を組み換え、雪だるま式に異常型に変えてしまう。異常型は分解されにくく、増殖して中枢神経組織などに蓄積する。だが異常型の立体構造はわかっておらず、狂牛病の検査に現在使われている抗体も、正常型と異常型は区別できない。
抗体は病原体など体内の異物を排除する生物の免疫反応によって作られることから、病原体の構造を知るうえでの大きな手がかりとなる。異常プリオンの特異抗体については、1997年にスイスの研究者が初めて報告したが、詳しいデータは公表されず、追試も成功していない。このため世界の研究者が改めて特異抗体の発見を競っていた。
品川教授らは、スクレイピーに感染させたマウスの脳をすりつぶし、遺伝子操作した別のマウスに大量に接種。このマウスの脾臓(ひぞう)から採取できた多くの抗体の性質を細かく分析していくことで、特異抗体を見つけだした。異常プリオンと構造が似た別のたんぱく質と反応する可能性も残るため、品川教授らはより詳細な解析が必要としているが、その場合でも、異常プリオンの構造解析などに利用できそうだという。
ヤコブ病治療の臨床試験を計画している堂浦克美・九州大助教授の話「今回の発見は、まだ検証すべき点も少なくないが、非常に興味深い成果だ。なぞの多い異常プリオンの生成過程など、その正体に迫れる可能性がある」