【ワシントン29日=館林牧子】仏製薬企業「アベンティス・パスツール」社は29日、米国にある同社の研究所に眠っていた大量の天然痘ワクチンを米政府に無償提供すると発表した。天然痘は1980年に撲滅宣言が出され、予防接種も中止されている。しかし同時多発テロ後、生物テロに備えて需要が高まり、米政府は急きょ製薬企業に生産を依頼するなどワクチンの備蓄を進めていた。
提供されるのは、同社の研究所の冷蔵室に保管されていた7500万―9000万回分の天然痘ワクチン。同社では30年前に生産を中止し、在庫品は氷点下20度の冷蔵室に保管されたままだった。米政府は、ワクチンの効果を確認したうえで備蓄に加える予定。同社ではこのワクチンは1億5000万ドル(約200億円)以上の価値があるとしている。
(3月30日10:26)