化粧品メーカー最大手の資生堂が、狂牛病とも呼ばれる牛海綿状脳症(BSE)対策
で昨年10月に自主回収の対象となった化粧品の一部について、厚生労働省から回収遅
れを指摘され、12月に回収を始めていたことが分かった。回収は今年2月中旬に終わ
った。この間、他の化粧品メーカーが回収を終えるなかで、資生堂は販売を続けてい
た。
厚労省は国内でBSEが確認されたことを受けて昨年10月、牛由来の成分を使った
医薬品や化粧品など約4千種類について「予防的な観点から回収や(原料の)切り替え
が望ましい」と判断。
牛の胎盤などを含んでいる製品について、危険性を高、中、低の3段階に分類し、リ
スクの高いものから優先的に回収するよう指導した。感染リスクはBSE感染牛のせき
髄や脳を直接摂取したのに比べ、高が1万〜100万分の1、中が1億分の1、低が1
00億分の1とされる。
資生堂は高リスクの製品は生産しておらず、中リスクの285種類は11月中旬に回
収を終えたが、低リスクとされた口紅「ピエヌ」など505種類については回収しなか
った。
厚労省の「速やかに製品の切り替えを進めること」との表現について、カネボウやコ
ーセー、花王などのメーカーは「回収の必要あり」と認識し、昨年末までに回収を終え
たが、資生堂は「回収期限が示されておらず、在庫製品の販売は問題ない」と判断。厚
労省から11月末に回収を促されるまで販売を続けた。
資生堂は、指摘を受けて12月中旬から回収を始めたが、約2万5000店の契約販
売店の一部で2月中旬まで販売していたという。
資生堂広報部は「BSE発生が確認されていないインド産の生後6カ月以内の子牛を
使っており、販売済みの製品も安全性は全く問題ない。厚労省の指導を受けたため、昨
年12月に予防的措置として回収を始めた」と説明。同社首脳は「回収により商品がな
くなってお客様や小売店に迷惑をかけないように配慮しながら取り組んだ。回収が遅れ
たとは認識していない」と話している。(07:17)
http://www.asahi.com/national/update/0320/002.html