米ボルティモアのジョンズ・ホプキンズ大病院は4日、オリンパス光学工業が製造、販売した気管支内視鏡に欠陥があり、肺に緑膿(りょくのう)菌が感染した可能性があると、内視鏡検査を受けた患者400人以上に通知したと発表した。
同病院によると、肺の検査を受けた患者のうち約100人が菌の陽性反応を示した。うち2人が肺炎で死亡したが、欠陥が死因かどうか不明としている。問題の内視鏡は口金がゆるんで細菌が繁殖しやすくなっていた。
同社によると、内視鏡は米国、日本、欧州などで約1万4000本が販売され、既にリコール(無料の回収・修理)の通知が出されている。
米疾病対策センター(CDC)によると、同社は昨年9月に問題に気付き、同11月末にリコールを決め、米食品医薬品局(FDA)と全米の医療機関2360カ所に通知した。
同病院は、リコールの通知方法に問題があり、内視鏡を使う部局は今年2月上旬まで欠陥を知らされなかったと主張。CDC当局者は「リコール手続きは適正だった」としながらも、リコールの事実をホームページに載せなかったため十分な効果を持たなかった、との見方を示した。
オリンパス光学工業は世界で内視鏡のシェア7割を占める最大手。同社広報担当者は「昨年12月3日にFDAに報告書を提出した。現在、今回のリコールの仕方などを確認している」と話している。
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緑膿菌は院内感染を起こす原因菌の一つ。抵抗力の落ちた患者が感染すると、敗血症などを起こし、死亡する場合もある。オリンパス光学工業広報室によると、米国以外では、日本を含め気管支内視鏡の緩みが原因となった健康被害発生は報告されていないという。同社は昨年12月18日に自主回収を開始し、対象となる3266本のうち76%の製品を回収済み。現在も回収を継続し、今月末に完了予定という。(ニューヨーク共同)(毎日新聞)
[3月6日3時21分更新]